デジャヴから我にかえった老年の丸長宏は、ホノルル空港の一角で、黒人の前胸部を揉んでいた。そういえばアフロヘアとか、マイケルそっくりだな。まるでタイムトリップしたかのような、不思議な感覚が彼を包んでいた [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(7)
時計は1時42分を指していた。丸長も藤壷もそれを見たが、何も言わなかった。二人とも疲労の色が濃い。二人はなんとなしに、大窓の外の星空を眺めていた。彼らの唯一の癒しの風景だった。すると、再び星が流れた。 [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(6)
藤壷は首をひねり、状態を曲げて伸ばした。バグを圧す同じ姿勢を続けて、50分以上の時間が経っていた。屈伸を終え、顔を上げると部屋の時計は1時35分になっていた。「いつまでやるんですか」藤壷が低い声で尋ね [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(5)
丸長が時計を見ると、1時27分を指していた。「おい、煙草が吸いたくなったな」「そうですね」藤壷がバグを圧しながら答えた。「一本つけてくれよ」「ここで、ですか」「そうさ、お前は片手がきくだろう。俺の右ポ [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(4)
「もう30分を過ぎましたね」藤壷がバグを圧しながら、1時15分を指している時計を見て言った。「指が痺れてきたよ」「僕が代われたらいいんですが」「疲れるのは主に指なんだ。これを30分もやると二、三日はペ [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(3)
丸長が時計を見ると、0時50分を指していた。「特別室なんだな。この黒人さんはVIPかい?」「なんでもアメリカの俳優さんらしいです。奥様は日本人ですが」「子どもさんいるの?」「確かいらっしゃったはずです [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(2)
丸長のメスが中央に近い五、六肋間に切り込まれた。そこからメスを左季肋上部まで走らせた。一度の切開で、皮膚から筋肉までが切り開かれたが、切り口からは血はほとんど出てこなかった。「この下が心臓さ」二度目の [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(1)
「先生! 心肺停止です!」昭和45年の凍えるように寒い冬。K病院のB8病棟の深夜帯。たまたまそこに居合わせた丸長宏は、看護師に引っ張られ、個室の病室へ入っていった。そこにはもう一人の看護師が、患者に馬 [・・つづく]
つづきを読む小説 黒人の死ぬ時(p)
まえがき2月に処女作「小説 40cmのペニス」を書いて、わりとアクセスがあり、まずまずの成功だったと自負しております。もともとまるちょうという人は、それほど想像力の豊かな方じゃない。いわゆるストーリー [・・つづく]
つづきを読む近況その弐・・腰をめぐる問題
それでは近況よっつめ。18日にジムで筋トレ中、ぎっくり腰に見舞われた。まるちょうという人は、年に一回あるかないかぐらいの頻度で、腰痛をやらかす。今回はわりと軽めだったんだけど、一度も整形外科でちゃんと [・・つづく]
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