藤壷は首をひねり、状態を曲げて伸ばした。バグを圧す同じ姿勢を続けて、50分以上の時間が経っていた。屈伸を終え、顔を上げると部屋の時計は1時35分になっていた。「いつまでやるんですか」藤壷が低い声で尋ね [・・つづく]
年: 2012年
小説 黒人の死ぬ時(5)
丸長が時計を見ると、1時27分を指していた。「おい、煙草が吸いたくなったな」「そうですね」藤壷がバグを圧しながら答えた。「一本つけてくれよ」「ここで、ですか」「そうさ、お前は片手がきくだろう。俺の右ポ [・・つづく]
小説 黒人の死ぬ時(4)
「もう30分を過ぎましたね」藤壷がバグを圧しながら、1時15分を指している時計を見て言った。「指が痺れてきたよ」「僕が代われたらいいんですが」「疲れるのは主に指なんだ。これを30分もやると二、三日はペ [・・つづく]
小説 黒人の死ぬ時(3)
丸長が時計を見ると、0時50分を指していた。「特別室なんだな。この黒人さんはVIPかい?」「なんでもアメリカの俳優さんらしいです。奥様は日本人ですが」「子どもさんいるの?」「確かいらっしゃったはずです [・・つづく]
小説 黒人の死ぬ時(2)
丸長のメスが中央に近い五、六肋間に切り込まれた。そこからメスを左季肋上部まで走らせた。一度の切開で、皮膚から筋肉までが切り開かれたが、切り口からは血はほとんど出てこなかった。「この下が心臓さ」二度目の [・・つづく]
小説 黒人の死ぬ時(1)
「先生! 心肺停止です!」昭和45年の凍えるように寒い冬。K病院のB8病棟の深夜帯。たまたまそこに居合わせた丸長宏は、看護師に引っ張られ、個室の病室へ入っていった。そこにはもう一人の看護師が、患者に馬 [・・つづく]
小説 黒人の死ぬ時(p)
まえがき2月に処女作「小説 40cmのペニス」を書いて、わりとアクセスがあり、まずまずの成功だったと自負しております。もともとまるちょうという人は、それほど想像力の豊かな方じゃない。いわゆるストーリー [・・つづく]
近況その弐・・腰をめぐる問題
それでは近況よっつめ。18日にジムで筋トレ中、ぎっくり腰に見舞われた。まるちょうという人は、年に一回あるかないかぐらいの頻度で、腰痛をやらかす。今回はわりと軽めだったんだけど、一度も整形外科でちゃんと [・・つづく]
近況その壱
近況をよっつほど。ひとつめ。まずは心電図読影について。毎週水曜と金曜の午後に、この作業をしている。場所は京都市内のK診療所の「腹部エコー室」。この部屋は、基本的に人の出入りがない。事務のお姉さんが、ゴ [・・つづく]
シリコンバレーから将棋を観る/梅田望夫作
「シリコンバレーから将棋を観る」(梅田望夫作)を読んだ。まるちょうは、将棋が大好きです。でも以前Blogに書いた通り、「将棋を指す」ということを諦めた将棋ファンです。勝負に没頭する負荷が、躁うつの波の [・・つづく]