「It’s Not You, It’s Me」を訳してみた

さる11月15日に「Norah Jonesコンサートに行ってきた」というBlogを書いたんだけど、アップして間もなく「加藤健二さん」という方からのコメントが付いた。私のBlogにコメントが付くのは珍しいので、ちょっと「おっ」という感じになる。読んでみると、かなり音楽関係に詳しい感じのコワモテという印象。年齢は57歳と明記してある。正直「なんや、ややこしそうやな~」と思った。コメント内容自体がわりと挑発的だったし、それに対するプチ怒り(笑)もあり、返事のコメントをすぐに作成しかけた。でも・・いや、待てよ。こういうのは、ちょっと時間をおいた方がいいな。ムカつく心を鎮めて明日もう一度、返事の文章を書いてみよう。

そして翌日の夜に、件のコワモテ(笑)加藤さんに対する文章を仕上げて、投稿した。すると、わりと早い段階で、また加藤さんからコメント投稿があり、今度はかなりマイルドな内容。ノラに関する、あるYouTubeの映像を紹介されたのね。それが自分にとっては「ハッとする」シロモノだったわけ。ノラが「Little Willies」というバンドで歌う「It’s Not You, It’s Me」。この「ちょっとワケありげな」タイトル、実は以前にTwitterで見かけたことがあり、ずっと記憶に残っていた。純粋に英語として面白い表現だし、その奥にどういう情念が渦巻いているんだろう?と、興味を持っていた。その肝心のTwitterは流してしまい、それきりになっていた。・・これは「何かの運命に違いない」と閃いたわけ。腰を入れて、歌詞を訳してみよう。このうたは、それだけの値打ちがある、そう直観で感じたのだ。

まず、加藤さんから教えてもらった映像をどうぞ。ちなみに加藤さんは、テレキャスターのジム・カンピロンゴがお気に入りだそうです。


It’s Not You, It’s Me/Little Willies(Norah Jones)

I just can’t keep going along

Making believe nothing’s wrong

It’s wrong and it’s always gonna be

もうやってけない、無理

ばっちりのカップルのふりしてたけど

ダメなものはダメ これからもずっと

Nothing you did in any way

Nothing you said or didn’t say

It’s not you, baby it’s me

あなたが何をしたってわけじゃない

なんにもまずいこと言ってないし

なんにも言わなかったわけでもない

いいんだよ、あなたが悪いんじゃない

So keep on being long and tall

Keep on talkin with the same ol’ drawl

Keep on baby don’t you trip and fall over me

あなたはのっぽ でも、そのままでいいの

いつもの若年寄りな口調でしゃべりなよ

ほら、あたしになんかにつまづいて転んじゃダメよ

The petals of the daisy drop

You love me then, you love me not

You love me not, it’s plain to see

ひな菊の花びらをちぎって落とす

あなたはあたしを好き 好きじゃない・・

あなたはあたしを好きじゃないのよ

そんなのわかり切ってるじゃない

Who keeps the fire burning bright

The one who’s losing sleep at night

It ain’t you, baby it’s me

心の中で炎は、いつまでも燃えさかる

夜もろくに眠れない 誰のせい?

あなたのせいじゃないんだよ

So keep the rose you never brought

Keep that ring that you never bought

大事にとっとけば あたしにくれなかったバラ

あなたが買わなかったあの指環だって

大事にとっておきなさいよ

It’s all my fault, it’s all my fantasy

Oh, but I can’t give you no more of myself

‘Cuz I’m lookin out for somebody else

It ain’t you, baby it’s me

全部悪いのはあたし 勝手に妄想してただけ

あー でも、もうあなたに尽くすのは金輪際終わり

他のだれかさんを見つけてやるんだから

あなたじゃないんだよ、あたしなんだよちなみに、この楽曲を書いたのはRichard Julian(アコギを弾いてる人)。なんと男性(というかオヤジw)なんだな。こんな女の子の繊細な心情をよく表現できるなぁ、とまず感心。情景としては、若い男女のカップルでよくありがちなこと。若いときって、自分がどういう人間かちゃんと把握できていない。だから「自分とマッチする異性」というのが分かっていない。でも「好き」という感情は、いつも先走って止められない。気がついたら、好きになっちゃってる。まるで隕石が突然頭上に落下するかのように。好きになって付き合い始めて、初めて「自分と合わない」という現実に直面する。誰が悪いのでもない。悪いのは彼でも、彼女でもない。

一番この歌詞で微笑ましいのは、別れに際して彼女が「あなたのせいじゃない」と主張するところ。初めは「It’s not you」なのに、途中から「It ain’t you」になる。彼女の「気持ちの増幅」を表している。つまり、まだ惚れている彼氏を最後までかばう態度なんだね。客観的にみれば運命の悪戯なのに「あたしのせい」と言い張る健気さ。いいね~ こういう女の子って、男性にとってはたまらないね。ずばりここに、このうたの「華」があると思う。

以上長くなりましたが、「It’s Not You, It’s Me」を訳してみました。