近況・・DVDに焼いたERを観たいYO!

うちはDrと元Nsの夫婦なので、医療もののテレビを見るときは、わりとテンションが上がる。NHK制作の「ドクターG」は、すべて録画してBDに落としてある。時間に余裕のある時など、腰を落として、二人で「ドクターG」を観る。これねー、優れた番組だったと思うんですよ。また再開してくんないかなー? 総合診療科のスーパードクターが症例を呈示して、三人の研修医とカンファレンスを繰り広げる。この研修医たちが、また優秀でねー。もー、なんか眩しい。いち総合診療医としては、なにより勉強になる。過去の放送をくりかえし観ることにより、楽しみながら知識の積み重ねができる。うちの奥さんも、わりとぐいぐい観ているようだ。

そんなある日、過去にDVD録画したER(救急救命室)を観たらどうか、という話になった。ERについては、奥さんがフリークなのである(初期のやつはVHSで持っていた)。僕も好きだったけど、ちょうど体調の悪い頃だった。子癇発作に対してグリーン先生が懸命に治療するも、亡くなってしまう母親(シーズン1の第18話)。あれ当時みて、うつになったもん。どーんと落ちた。でも今なら、ニュートラルな精神状態で観れると思う。ちゃんとERを見たいという欲求は常にあった。

さて、DVDをBDプレーヤーに入れてみる。「規格が合わない」とのアラートが出る。読み込みもしないので、どうにもならない。門前払い。いろいろ思案して、ファイナライズをしていない可能性に思い至る。しかし、ファイナライズはあくまでも録画した機器でやらないとダメ。膨大にあるDVDの山をみて「これみな、開かずのアーカイブなのかー!」と頭を抱える。レコーダーはすでに買い替えた。万事休すか? ネットでいろいろ調べてみると、ありました、救世主となるフリーソフトが。Windowsで動作する「ReadDVDR」であります(下図)。


いろいろ紆余曲折はありましたが、わがMacBook Pro(Boot CampによるWindows10)+Pioneer BDドライブという環境ならば、安定した動作のようです。(ちなみに奥さんのPCでは、ファイナライズ失敗した)。正規のやり方ではないので、自己責任でどうぞ。ちなみに「ReadDVDR」は、現在ダウンロードが難しくなっているようです。僕はラッキーだったのかな?

昨晩、夫婦でERの第一話をみた。カレーを食べながら観てたんだけど、カレーを食うヒマがないのだ。それくらいスピーディで濃密で、スリリング。この作品は、あるいは物を食べながら観るべきではないのかもね。第一話はマイケル・クライトンの脚本。キャロルが自殺未遂でERに運び込まれたときは、思わず「あっ」と声を出してしまった。ベントン先生のガッツポーズも泣いたね。グリーン先生の多忙とタフさと弱さにも共感、というか同情。

ERを観ると、自分が研修医だった頃を思い出してしまう。これって、医療者としての「原風景」というかな。あの頃のひどいコンプレックスーー劣等感、悔しさ、無力感、疲労、混乱、羞恥、そして一瞬の喜びーーでも、いつも懸命に前を向いて走っていた。というか、走るしかなかった。あんな苦しいことを、なぜ今になって振り返ろうとするのだろう? 50代になって、あの苦悩を客観的に見れるようになったこと。そうして自分の「原風景」に、あの一生懸命に生きた時代に、タイムスリップできるからなんだと思う。あの、何もいいことのなかった時代に舞い戻るという、荒涼としたノスタルジー。カーターがERの入り口で独り頭を抱えている姿に痛く共感する。俺もあんなんだった。そんな今日この頃です。

まったく蛇足なんですが「遠くで汽笛を聞きながら/アリス」の気分になったので、ちょっと載っけておきます。


悩みつづけた日々が
まるで嘘のように
忘れられる時が
来るまで心を閉じたまま
暮らしてゆこう
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で