八月の下旬に医家芸術展があり、超高齢の両親にも見せることができて、よかったと思っています。役目を終えた、四枚の絵。厳密にいうと、厚みが7mmのパネルです。横幅が最大80cm、縦が60cm程度。この四枚のパネルを、当初はシンプルに粗大ゴミとして処分するつもりでした。原画のデジタルデータはパソコンに保存されているし、まあいいか、と。
自宅に置いておけるスペースは、ほぼない。医家芸術展には、かなり巨大な絵画も出展されているが、おそらくそうした先生は、十分な広さのアトリエや倉庫をお持ちなんだと思う。僕のような庶民派は、そんな優雅な状況ではない。トランクルームはあるんだけど、それほど大きくないし、既にほぼ満タンなのだ。僕の個人的なモノで、家族に迷惑をかけたくないし。
ただ、パネル化するのに7000円はかかっている。パネルに直接描いた原画に無い線は、処分したらもう戻ってこない。なので、捨てるのはちょっともったいないという気分もある。うーん、どうしよ〜 レンタル倉庫とか調べてますけど、イマイチぴたっとくるサービスがまだ見つからない。おそらく毎年、三枚づつとか増えてくると思うので、絵画展を終えたパネルたちの安住の地を見つけてやりたいが・・ あるいはやっぱり廃棄するのか。思案中です。
ふたつめ。今更というか、「アンダーグラウンド/村上春樹」を読んでいる。ざっと10年以上前に、先輩のO先生から「これは読んだ方がいい」と言われていた。地下鉄サリン事件(1995年3月)被害者のインタビュー集である。大変遅くなって、すみませんm(_ _)m
読み始めるとともに「これはえらい書物だなー」と思った。被害者のインタビューが、淡々と綴られている。いろんな捉え方があると思うけど、まず感じたのは、当時の3月20日の地下鉄という閉じた空間で起こった「正体不明の事態」。その時はみな、サリンという物質など知る由もない。原因が分からないまま、鼻水、咳、息苦しさ、吐き気、縮瞳による暗さ、意識レベルの低下、そして死、あるいは延々と続く後遺症。そのパニックや、あるいはパニックでない軽症の人たち。まだ二割くらいしか読んでないけど、著者としての村上さんの「サリン事件に対する主観」は、ほぼ入っていない。インタビュー集として、あくまでも淡々と綴られている。一種のノンフィクションなのかな。この本に記載されている多数のインタビューは、あくまでもマテリアルであり、どんな感情が炙り出されるかは、読者しだいということだろう。すごい読み物である予感。
みっつめ。桑原辰雄の詰将棋を解いている。十三手詰めまで到達。この人の本領は、十七手詰め以降と思っているが、十三手でも十分に難しい。僕は55歳なので、一晩に考える時間としては「一時間」がいいところ。それ以上やると、思考が鈍くなり、時間のムダになる。というか、片頭痛の温床になる。下記の作品は三日(つまり三時間)考えたが、解けず。
ヒントには「三手目に好手あり」とある。初手は32銀しかない。これは30分も考えればわかる。三手目がわからん。三日めにカンニングしたら、22竜とな。ぐわー! 詰将棋は基本、左脳(論理的思考)で解くものだが、こうした鬼手は右脳(ヒラメキ、飛躍)が必要。カンニングというのは、いわゆる「白旗」であり、とても悔しい。詰将棋を解くというのは、どこかマゾヒスティックな味わいがあるのかも。僕、ドMなので、詰将棋は合っているのです。十七手詰めで、もっと虐められたい!笑