さる8月26日から28日、医家芸術展が開催されました。コロナ第七波の中、とりあえず開催されたことに感謝。今回は「色鉛筆画」という方法論で、いろいろ障壁になっていることを乗り越えるという、新しい試みでした。
色鉛筆画を展示して、いつも思うこと。サイズが小さい。どうしても「優しい」感じになりがちで、インパクトに欠ける。他の先生方の油彩とかの「色を塗り込む」迫力は、どうしても色鉛筆画では出てこない。僕はアトリエを持っていない。普通に机上で描いています。だからサイズアップには限度がある。ずーっと考えていたんです。なんかいい方法がないかと。
昨年の春ごろだったか、ちょっと閃いたんです。F8サイズの色鉛筆画をiPhoneで撮影(デジタル化)→軽く加工→大きいパネルとして出力→さらに油性の色鉛筆で加筆修正して仕上げ。例のザギトワ選手の絵をサンプルとして、パネル出力してくれる会社をネットで探す。福井にある「大型出力屋」という会社がいい感じ。ネット経由で画像データを送って、任意の大きさのパネルに出力してくれます。出力後のザギトワ選手の絵も「悪くない」と思った。
昨年の秋に、この手法での出品も許可をいただいた。ボードフックという金具でテグスで吊る方法。これも初めての経験なので、ちょっと緊張した。テグスの結び方っていうのも、いい加減では解けてしまう。まあ、パネルというのはすごく軽いものなので(額装よりもずっと軽い)、その辺は面白い素材ではある。業者さんも、ちょっと戸惑われたのではないかな? でもなんとか、三日間トラブルなしでうまくいきました。
こうして展示した感想としては・・ 大きさとしては、まずまず満足できると思う。パネルに出力するということは「拡大印刷」なわけで、やや線はボケるのです。それを油性の色鉛筆で補正する。これがなかなかいい感じで「色のインパクト」が、まずまず出ていたかと思います。(メガネ女子はわざとぼかしました)個人的には「成功」かな?と自画自賛しております。
技術的なことは以上。あともうひとつ、大事なこと。超高齢の両親が見に来てくれる、ということになった。特に81歳の母は、足が悪い。杖歩行でゆっくりならなんとか。もちろん、転倒のリスクは常にあるし。つい二年前は、伊勢丹の加賀屋で飯食って、それからタクシーで会場に向かった。しかし、現状ではそんな悠長なことはできない。そう、この二年で母の下肢の筋力低下は進んでしまった。老いは怖い、早い。でも、そんな母が「展覧会行くわ〜!」と言ってくれた。91歳の父も昨年四月に後頭葉の脳出血を発症して、見える世界は二年前とは全く変わっている。
向日町の実家でご飯を食べて、タクシーで直に会場入り。ちょっとした階段もあるし、母にとってはそこそこの「冒険」だったはず。一階の喫茶店でお茶をして、タクシーで帰っていただいた。タクシーがつかまらず、ちょっと大変だったが・・ なんとかなったようです。あ、そうそう、父は趣味のビデオを会場で回して、ご満悦。脳出血してから、取説を一から読み直したとのこと。粘りのある人だ。でも、なんやかやで、お二人にとって「よいトライアル」にはなったようだ。当人も言っていたが「明日の命さえ分からないのに」、来年もきてねとは言いにくい。でもでも、テンションの上がったお二人を見送って「来年もきてほしい」と願った愚息なのでした。以上「二年ぶりの医家芸術展」について語りました。