「蝋燭の前の少女/サンテール」を描いてみた

蝋燭の前の少女


<画材>カリスマカラー 48色、ダーマトグラフ(黒)、修正ペン、プラスチック消しゴム<リサーレ>、練り消しゴム、ステッドラー鉛筆(4B)、maruman「VIFART」H.P. surface F8


五月から取り組んできた絵が完成したので、ご報告いたします。今回は「写実」の要素が強く、例えば服のしわなど、けっこう緻密さが要求される作品でした。2013年のプーシキン美術館展で出会った絵画ですが、単純で落ち着いた構図から、いろんな余韻が残り、不思議な深みがあります。たとえば、極私的なイメージを記述してみましょう。

愛しい人からの恋文。お風呂上がりに、気持ちをすっと静めて、私は読み始める。この姿は誰にも見られてはいけない。親にも兄弟にも、誰にも。蝋燭を灯して、こっそり読む。この秘密で満ち足りた瞬間!



この絵は、みればみるほど想像力をかき立てられます。とても微笑ましい、健康で、幸せなイマジネーション。「にんまり」とかそういう露骨な感情表現ではなく、あくまでも抑制的に「微笑とまでもいかない幸福感」を醸し出しています。ここが芸術たるゆえんですな。

サンテールは、このモチーフをかなり好んでいたみたいです。「蝋燭のかたわらで本を読む少女」というサンテールの作品があって、本作はサンテール自身による「複製」とされています。1700年頃の制作とされている。また資料によると、エルミタージュ美術館所蔵の「ショールを被った女性(1699)」santerre_voile01と同じ女性がモデルになっているそうです。こちらは髪の毛を完全に下ろしているので、まったく別人(大人っぽい)に見えます。でも専門的な研究では、同一人物とのこと。女って化けるね~( ̄▽ ̄;) よこしまな考えだけど、このモデルとサンテールの関係性とか、ちょっと気になったりする。

さて、今年も「医家芸術展」が近づいてきました。ぜひぜひご来場ください。原画はもっともっと大きいです。例の「踊りの花形/ドガ」と、二点展示いたします。よろしくお願い申し上げます。

医家芸術展