自分の「業」について考えてみた(2)

前回に引き続き「アスペルガー(AS)のパートナーのいる女性が知っておくべき22の心得/ルディ・シモン著」より、なるほどと思った箇所を引用して、語ってみたい。結婚生活11年。少しでも自分の「業」というものに向き合いたい。

特に目的もないのにテレビやインターネットを見ることに、彼は超人的な感じで没頭していないでしょうか。あるいは、変な時間に、こんこんと眠り続けませんか。禅に通じるものがあるとも言えるでしょうが、そばにいるあなたはかなりイライラするはずです。(中略)テレビやベッドやインターネットと一体化しているのですから。

ASの頭の中では、一分間に一キロメートルも走るようなことが起きています。常に考え、計算して、物事を理解しようとしているのです。頭を使わないことや、単調な繰り返しのある活動に熱中することで、頭脳のスイッチを切り、充電しているとも考えられます。

(中略)彼は自分が「怠惰なこと」に没頭しすぎると知っているはずです。(中略)誰にものぞき見されずに一人でいることが、彼には必要なのです。同棲すれば、思う存分リラックスできなくなります。リラックス、そして、家にこもること、この二点はASの人たちにとって絶対に欠かせないのです。



私は基本的にオタクです。シモン先生が指摘されるように「インターネットとベッドと一体化」する毎日です。「一体化」という表現が、ナイスですね(笑)。パートナーとしては「じゃあ、私はなんなのよ」的な不満が、しんしんと雪のように積もっていくわけです。うちの嫁も、たまに「なんで私と結婚したの?」と不満げに訊いてきます。「愛しているからだ」と真顔で言っても、あまりピンとこないようです。そうした「初心はどこに行った」的な押し問答が、ふとしたきっかけで奔流のように団らんをかき乱すこともあります。

誓います。初心はどこにも行っていません。俺はおまえを愛している。今も変わらず、愛している。でも、シモン先生もおっしゃる通り、ASDには「リラックスと家にこもること」が必要なんです。夕食で満腹になると、どうしても気分が落ちるので、iMacの電源をつけて、Twitterに「歯磨き☞プチヨーガ 明日の仕事の準備など」とつぶやく。BGMはR&Bで、久保田利伸とか。実際、歯磨きとプチヨーガ(10分くらい)をすると、あれだけ落ちていた気分が上昇してきます。でも、これまたハイになりすぎるといけないので、抗躁剤をすかさず服用する。毎日、このようなプロセスを経て、Blogとか生産的な作業へと移っていきます。

怠惰ということ。若い頃は、本当に怠惰だった。これではいけないと思ったのが24歳で失恋したとき。自分を変えていこう・・と思っていた矢先に、双極2型障害という訳の分からない病気になってしまう。あ、この病気は、個人的にはASDの二次障害と位置づけています。そういうわけで「自分を変えていく」どころじゃなくなるわけですが、36歳で結婚して、伴侶ができる。その結婚生活の中で、自分がどれだけ「怠惰」なのかを思い知らされる。まさに客観的に。これ、衝撃でしたよ。実家にずっといたら、こんなこと永遠に分からなかった。だから、うちの嫁には、大変に感謝しています。俺の中の「怠惰」を追い払おうと、悪魔払いのように日々、けしかけてくるわけですから。感謝してるけどね。。 いつか、エクソシストの少女のように、首が一回転しないかしら(笑)。

自閉症(Autism)に特有の、同じことを繰り返す性質。専門用語では「常同行動」と言いますが、ASDは、同じパターンに入っていると、すごく落ち着くし、リラックスできるんです。そしてそれは、どうしたって「自宅」が一番よいに決まっている。しかし・・この常同性こそ、パートナーにとっては、辛いんだよな。いわゆる「自分の殻に入ってぬくぬくしている」という風にみられる。シモン先生がおっしゃる「怠惰なことに没頭する傾向」である。ちょっと待ってくれ。オンオフという切り替えは、俺には許されないのか?「24時間たたかえますか?(リゲイン)」☞ 戦えるか、ボケ! そうすると、YさんやSさんのご主人は、休日にも子供さんをつれてバーベキューやらなんやら、車の整備やら、家のことをされている。一方おれは「殻の中でぬくぬく」だ。へっ、悪かったな、怠惰な夫で。またもや温かい団らんが、奔流に呑まれていく・・( ;´Д`)

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家族とは、あるいは「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」のようなものなのかもしれない。USJは、家族の深淵に眠るそうした「危機」を、アトラクションとして表現したのではないか。でも、びしょぬれになりながらでも、記念撮影をして笑って帰れたら、楽しい想い出になる。私は家族に潜む「恐竜」のことを想う。その恐竜は、ふとしたきっかけで覚醒する。パオーン! ちょっとした軋轢、不用意な言葉。恐竜は、関係性の中に棲んでいる。こいつ、なかなかしぶとい。スピルバーグなら、解決してくれるかな? っていうか、彼こそASDの一員であり、おそらく「恐竜という幻想」に脅かされてきた人間なのだ。誰か「恐竜」を退治するやつ、おらんかいの? おあとがよろしいようで。f(^^;)