近況(ポジ)・・はじめてのふれんち「本編」

さて、本編です。「ル・ゴーシュ・セキ」は、一見フツーの住居のようだったが、扉をくぐると、ピリッとした雰囲気がただよっていた。シェフ(関さんとおっしゃるらしい)と給仕の若い男性の二人で切り盛りされている。お二人は、基本的に淡々と仕事される。余計なスマイルは要らない、といった具合。とにかくクールなのだ。シェフは、そうとうに人見知りなんじゃないか、そんな風にも感じられた。

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まずは飲み物から。われわれ夫婦は、酒を飲まない。フツーはシャンパンとかワインとかいただくんだろうけど、われわれは大体、ジンジャーエールである。車で来てるしね。緊張しているところへ、シェフの挨拶なり。献立の内容について、かんたんに。前菜三種と魚料理、肉料理、デザート、飲み物・・そんな感じで説明があった。少なくとも私は、フレンチのちゃんとしたコースは初めてなので「はあ、はあ・・」という感じ。とにかく、ようわからんのです。まぁ、派手な粗相はしないようにと、心がけた。(以下の写真、美味しそうに撮れてないのが残念です。関シェフ、すみません)


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まず前菜から。最初は「オマール海老の万願寺唐辛子ソース、コンソメジュレ添え」。黒いのは、キャビアです。これ、とても繊細な一品・・だったはず。でもその時、私はとても飢えていた。ジムで汗いっぱいかいて、空腹で死にそうだった。なので、オマール海老は「たぶん美味しいんだろうな」と感じつつ、さっぱり味が分からなかった( ̄▽ ̄;) すんません、関シェフ。俺の胃は「牛丼くれ」って感じだったんです。すんません~(汗)

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前菜ふたつめ、いきます。「フォアグラといちじくと松の実のキャラメリゼ」。これは、ずーんと来た! フォアグラのちゃんとした料理って、初めてだと思う。フォアグラをかなり炒めてあって、香ばしい。ほんのりビターやな。脂っこさは微塵もない。そこにいちじくの優しい甘みが重なる。とても不思議で、深い味わい。「これ、なんだろう?」と味覚を総動員するも、掴めず。でも、やっぱり美味しい。とにかく、すごい独特なコクがあるのね。思わず「ほ~」とため息が出る。付け合わせのパン(これうまいねん、シェフ手作り)とあわせて食べると、たまらんのね。

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前菜みっつめ。「よこわと焼き茄子のミルフィーユ」。よこわという魚は、まぐろの若いやつです。つまり、まぐろほど脂がのっていない、さっぱりした味。献立の流れでは、軽い☞重い と来たので、やはり今度はあっさり。この料理、ソースがないぞ。あれ?って感じだけど、そこがサプライズ。よこわはマリネされていて、しっかりと味が付いている。焼き茄子とのマッチングは? これが抜群に合うのね。ごくごくあっさりした味付けで、よこわと焼き茄子のどちらも素材を活かしている。思わず「おー、合うわ~」とつぶやいちゃった。さっぱりと、サラダ感覚でいただけるひとしな。よこわと焼き茄子って・・うーん、スゲーな。

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ここまで来て、お蝶夫人♪とひそひそ声で「ここは、当たりやね」と話していた。店内の雰囲気にも慣れてきて、二人でニコニコ。美味しいものを一緒に食べて、ニコニコできるというのは、この上のない喜びである。こういうの、当たり外れがどうしてもある。今宵は、当たりだった。神様、ありがとうございます。

メインの魚料理。「スズキと夏野菜のポワレ」。スズキは皮がぱりぱり、身はしっとり。白いふわっとしたソースが謎で、表現しにくいけど美味しい。でも、なんだろ? 白子のムース的なものかと推測した。とても優しいひとしな。

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ここで箸休め入りま~す。「ジャスミンティーのグラニテ」。これ、面白い。粗いシャーベットなんですけど、わりと強めにジャスミンティーの香りが込められている。これ、献立の中だるみに、ハッとさせる立派なひとしなだと思いました。冷たいざらっとした食感と香りのアクセント。こういう小技、好きやな。

メインの肉料理。「小鴨と新玉葱のロースト」。個人的に、鴨は普通に美味しいと思ったんですけIMG_0212ど、サプライズはむしろ、玉葱でした。淡路島産の新玉葱だそうで、すごく甘い。質のよい玉葱をほどよく炙ると、こんなに香ばしく、ステキな甘みがでるんだな~。それも、ちょうど肉のよさを引き出すような甘みなんですね。すごいマッチング。思わず、玉葱の外側の皮まで、もしゃもしゃ食べちゃった。パンは腹へってたので、計三個いただきました。

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〆のデザート。「セイロンティーのブラマンジェ、日向夏のコンポート添え」。とても優しい味。もちろん甘さ控えめ。紅茶好きのお蝶夫人♪は、特に喜んでいた。日向夏のほんのり苦みがアクセント。食後のコーヒーには、別途、トリュフチョコと焼き菓子(フィナンシェというらしい)が付きます。これがまた、いちいち美味いねん。フィナンシェは、ちゃんと温かいし。最後の最後まで、手を抜かれません。うーん。。すごい。

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最後に、関シェフと挨拶。私はごく素直に「めちゃくちゃ美味かったです!」と伝えた。シェフも、なんか私たちを気に入ったらしく、名前をどう書くのかとか、いろいろ質問された。とにかく「目力」が凄い人で、感情があまり表にでない感じかな。その人間像について、ちょっと興味がわいたけど、まあ今回はここまで。また次回、いつか必ず来ようと思った。お蝶夫人♪に、よいプレゼントができたと思う。まさに「異次元」だったもんね。こんなに近所に「すてきな異界」があるなんて、全然知らんかった。灯台もと暗し。誕生日おめでとう、わが妻よ。すてきな一年でありますように。以上「はじめてのふれんち」でした。