近況(ネガ)・・京都漂流その弐

(承前)8月13日(水)

この日は午前が一般外来、午後が心電図。昨日と同様に、コンビニの朝食を黙々と食べる。あ、テキトーな音楽はかけてますけどね。そうそう、ヨーガはベッドでいちおうしている。朝も夜も。これなしでは生きていけない。立ちポーズがひと苦労でね。スリッパだと、うまく足がすべらない。「あさげ」を買っていたんだが、結局のんでいない。ま、いいか。

午前の外来は13時すぎに終わり。心電図も690枚で、そこそこ。ホテルへ戻り、少し寝る。昨日と同じように、シャワーをあびて外へ。新福菜館も考えたが、二夜連続ラーメンというのは、芸がないような気がした。ホテルの近く、七条通りに面して「クアトロ」というイタリアンがあるのをチェックしていた。これも縁なので、いっちょ入ってみるか。店内はわりと客が入っていて、女子会や外人さんが多いかな。女子会がなんと言っても騒がしい。ちょっと居心地が悪かった。パスタは普通だったけど、デザートの抹茶ティラミスはなかなかだと思った。

その夜、ホテルの部屋でベッドに座り、ぼんやり考えた。俺はたまに「言いようのない閉塞感」に苛まれることがある。酒も煙草もゴルフもやらない。オナニーはするが、浮気はしない。はめを外すということが、日常にほとんどないのだ。住宅ローンを抱えて、毎日小さな世界をぐるぐる回っている。同じ風景を見ながら、小さな変化を慈しむ毎日。このルーチンという名の「檻」は、個人的に嫌いではない。もともと自閉的な人間なので、ルーチンを繰り返すことは、わりと耐性がある。しかし、である。ふとした瞬間に「息苦しい閉塞感」を感じてしまうことがある。要するに「生活におけるバランスが崩れる瞬間」ですな。

俺は双極性障害という病気を抱えているので、普通の47歳男性よりも、自由になる時間が少ない。睡眠は常に八時間半必要だし、ルーチンから外れると、とたんに体調が崩れる。そう、ルーチンという「檻」が、逆に俺を守っているという構造ね。アラフィフという「責任」の中で生きる世代。家庭と仕事という「よき束縛」により、生産的に生きること。それはとても素晴らしいことだ。なんという幸福か。天に感謝しなければ、筋が通らない。

でもでも・・この閉塞感をどうするよ？ 今回の「漂流」で感じたこと。「檻」の中では嗅げない匂いというものが、やはりある。カオス、熱気、毒・・ざっくり言えば「人間臭さ」という表現になるか。ルーチンに塗り固められると、人間は次第に凝り固まっていく。人間にはどこか「ギラギラしたもの」って必要じゃないかって。草食の中に秘められた肉食、みたいな。ぱさぱさの草食に成り下がっては、人間たる喜びってどうなんよ？　ひとつ確かなことがある。今回の「漂流」で、閉塞感は消失した。漂流って、結局のところ「ルーチンからの逸脱」を意味するんだね。人生って、難しい。逸脱がすぎれば、破滅が待ち構えているし。ホントにむずかしい・・

のどが渇いたな。ふと、放置されている「あさげ」を飲んでみようと思い、湯を沸かして用意する。湯を入れて初めて「かき混ぜるもの」が無いことに気づく。スプーンとか置いてないし。考えるのが面倒くさくなって、一瞬指を突っ込もうかと思ったが、熱湯だしな。しょうがないので、アメニティの麺棒でかき混ぜる。あさげ自体はうまいと思ったが、なんとも不器用な飲み方やな。あさげに謝罪します。

8月14日(木)

本日はOffなり。朝のヨーガを済ませ、遅めのチェックアウト。二日間、コンビニ朝食だったので、今日くらいはちゃんとしたモーニングを。小川珈琲のモーニング(525円)が、非常によかった。コスパ最高。ちょっとリッチな気分にひたれた。旅の終わりに、こうしたちょっとした幸福感は、とても嬉しかったりする。気分良く、京都駅からわが家のある栗東へ向かう。なんちゃって「父帰る」か。あ、軽いかな、このノリ。

車中、iPodで音楽聴きながら、アエラを読む。ボストンバッグは網棚にのっけてある。お蝶夫人♪には「10時頃帰宅します」と脳天気なメール。さ、栗東についた。「父帰る」だ。襟を正して、家族に挨拶しよう。「ただいま」・・イメトレしながら、マンションのエレベーターの前に立つ。なんか荷物が軽いような・・　あ！ ボストンバッグ！(￣▽￣;)　

大量の洗濯物を待ち構えていたお蝶夫人♪は、この失態に「もー」と渋い顔。俺は自分にガッカリで、寝込んでしまった。なんつー無残な「父帰る」じゃ。菊池寛もまっさお・・　ボストンバッグは米原まで行ってしまい、二日後、着払いで宅配便で返ってきた。最後まで世話を焼かせる俺って・・orz　すんません、すんません。ギラギラしてる場合ちゃう。ちゃんと目の前の人生を生きよう。「結局なんやねん」という感じの終わり方で、すんません。以上「京都漂流」と題して、近況(ネガ)を書いてみました。次回は近況(ポジ)を書く予定です。