近況・・父の白内障手術(2)

(承前)父は高齢なので、一泊入院となる。部屋は個室で、こざっぱりした感じ。わりと広くて来客用のソファーもある。手術は正午すぎとのこと。それまで、あれこれ談笑する。ここのスタッフは、みなさんきびきび動く。空気が「いきいきと流れている」感じがする。院長をトップに、組織としてうまく機能している印象だな。父はもともと、一人で来て、一人で帰るつもりだったと言う。母はけっこう「口うるさい」タイプだし、一人の方がいいと思っていたのだろう。しかし、母も夫が入院というのに、そうもできない。やいやい急かす母に、できることもできない父。母のことを悪く言いたくはないけど、これは我が家で数十年続いてきた光景だ。でも、二人とも今は年老いて、二人でパニックになる場面もあったり。そこへわが嫁が、しっかりたち振る舞う。出しゃばりすぎもせず、要所は押さえる。私としては、心強い限りである。私もそうした光景を眺めつつ、ちょっとだけ口を出す。私はお邪魔虫にならないように、心を配るのが役目。


さて、手術室へ。父は「ちょっと緊張してきた」と言う。世話役のナースによると、本日はなんと18人もの手術を予定しているという。18人! 1人20分としても、六時間だぞ。ちなみにHPによると、昨年の白内障手術件数は、988件。失敗例もちゃんと載っけてある。森井勇介先生、すごいな~ 大したもんだ。ちなみに私と同じK医科大卒なり。

オペ場をちらっと見たけど、まさに「戦場」という感じだった。術衣姿の森井先生も、介助のナース、その他スタッフ陣も、眼光鋭いぞ。研ぎ澄まされた空気を感じた。私たち家族は、観察室で手術の様子をみることができる。どこまでもオープンなのである。モニター画面で、水晶体が破砕されて吸引☞眼内レンズ挿入、そして後の処置。あっという間に終了。

部屋へ戻って、あれこれ談笑する。あとの点眼のアラームを合わせたり、術後のゴーグルの調整とか。また母がやいやい言うのだが、二人ともパニクると、お蝶夫人♪が冷静にアドバイスに入る。

そうこうして、昼食の時間。父をおいて、三人とも退散となる。ここからは、こぼれ話。私たち夫婦は、近くのうどん屋さん(「麺棒」という)に入ったのだが、これがまた汚くて、接客もダメ、味も最低な、ある意味すごい店だった。私は鳥なんば(うどん)を、お蝶夫人♪は五目そばを頼んだのだが、なぜか私がそばで彼女がうどんだった。味も学食並みで、しかも700円取りやがる! ま、今日はメシ食いにデートじゃないんだから、いいけどよ。トイレの戸もすごく固くて、中に人がいるんかな?と思いつつ、思いっきり引っ張ったら開いた。「なんやねん、この店~」と逆に二人でウケていた。流れるBGMがなぜか洒落たJazzで、これまたケッサク。なんやねん、ここ。お蝶夫人♪調べによると、食べログで結構ポイント高いらしい。絶対おかしいやろ! 帰宅後、その謎は解けたんだが。

さて、25日(土)、術後経過をみる外来受診あり。お蝶夫人♪が「お加減、どうですか?」的なメールをしたらしい。すると父から「術後経過良好です。ありがとう~♡」という、ハートマーク満載のメールが送られてきそうだ。「嫁ポイント」三倍やな(笑)。今回の一連の出来事で、感じたことをひとつ。嫁を持つということは、生活の中で「女性からの視点」が否応なく入ってくる。それは時に、うっとうしかったり、面倒くさかったりするんだけど・・ でも「女性ならではの繊細さ、気配り」というのは、男性はとうていかなわない。お蝶夫人♪が指摘しなければ、手術に付き添うことはなかった。でも実際行ってみて「正解」だと分かった。良妻を持つことは、実に心強い。本当にありがとうございました。以上、二回に分けて近況を記しました。