近況・・プーシキン美術館展に行ってきた(序)

IMG_0086近況をひとつ。少し長くなったので「序」と「本編」に分けて書きます。あしからず。今回は「序」ということで、一枚の絵との出逢いと、それからの大まかな展開を記します。

さる11月24日に「プーシキン美術館展(神戸市立博物館)」に行ってきた。体調の心配もあり、一時はあきらめていた。基本、2013年は減薬の年であり、できるだけ遠出はしないと家族に約束していた。しかし、である。6月の下旬頃に、一枚の絵に打ちのめされた。いや、正直に告白すると「恋した」のかもしれない。ルノワール作「ジャンヌ・サマリーの肖像」です(次回に詳述)。6月下旬といえば、体調が一番悪かった頃。それなのに、この絵をネットで見かけて、私は稲妻に打たれたようになった。ほんと、こんなん恥ずかしいですけど。


6月24日のFBに、調子こいて「ぜひ秋に神戸に行きたい」みたいなことを投稿している。それも「ジャンヌ・サマリーの肖像」の画像を添付して。今もって、赤面してしまう。ちょっと躁状態だったんだろうな。でも確かに、この絵画には「40代のおっさんの心をも鷲掴みにする何か」が、あったのだ。それは認めざるをえない。でも・・FBに投稿したあと、自分が直面している危機、そして家族と結んだ約束を思い出した。高かったテンションは、しゅわしゅわと小さくなり、数日後には無意識の沼へ押し込められた。私は「人生という檻」の中で生きる囚人なのです。何もかもが許されるわけじゃない。仕事も家庭もある。最低限、それをちゃんとやり遂げた先に「余暇の充実」というオプションが付くわけね。

というわけで、プーシキンはいったん無意識の沼の中へ。7月からずっと、私の心を占めていたのは「体調を少しでもよくすること」です。恐れていた10月を、T診療所の外来体制改善(S事務長さん、S先生、感謝です)により、わりと普通に乗り越えることができた。11月初旬に睡眠リズムが悪くなり、家族に迷惑かけたりした。でもなんとか、それも脱した。そこでふと「沼に沈んでいたプーシキン」が、ひょっこり「意識の俎上」に載せられたのだ。そりゃ、行きたいに決まってる。でもスケジュール的に行けるの? そろばんパチパチ・・チーン! 24日なら、なんとか行けるかも! ☞おそるおそる、お蝶夫人♪に打診してみる。すると、わりとすんなりとOKが出た。彼女という人は、基本的に夫の「たっての願い」は聞いてくれる、あるいはしかと応援さえしてくれるのだ。ありがとうございます。いい嫁もって、幸せです。

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そして迎えた11月24日(日)。結論から言います。実に素晴らしかった。やっぱり良質な絵画を鑑賞するというのは、なにか特別なものがある。何かしら「力」をもらえるというか。思えば、ちゃんとした美術館での絵画鑑賞というのは、2002年の京都でのシャガール展(お蝶夫人♪とデートにて)以来だろうか。あの時も圧倒的な絵画の力に、感嘆するしかなかった。「街の上で」という絵画は、今も脳裏に焼き付いている。今回、プーシキン美術館蔵のもろもろの名品を鑑賞して、あの頃の「熱い心」が蘇ってきたように思った。「ジャンヌ・サマリーの肖像」だけではなく、フランス絵画の17世紀から20世紀までの大きな流れを感じ取ることができた。たぶん、結婚して10年、絵画鑑賞リテラシーは上がっている気がする。人物の表情、風景の色合い、光と影。そして何よりも「表現への果てしない貪欲さ」。

一番感じたこと。感動したいと思うなら、労を厭わないこと。「これは本物だ、ぜひ観ておきたい!」と感じたなら、躊躇せず踏み込むこと。こうした時の障壁は、つねに「怠惰」です。減薬も完了し、来年からは「よく遊び、よく学べ」の教えを、少しでも実践したいと思っています。もちろん、体調と相談しながらですが・・ すんません、次回が本編になります。「ジャンヌ・サマリーの肖像」について、深く踏み込んでみたいと思います。