Second Nature/Eric Claptonを訳してみた

今回は趣向を変えて「Second Nature/Eric Clapton」について語ってみたい。村上春樹が自著の中で激賞した「Reptile」というアルバムに収録されている。私が惹かれたのは、何といっても「Second Nature」という言葉です。クラプトンがさびの部分で、この言葉を連呼するんだけど・・「第二の自然」って何よ?ってなったわけ。これ、調べると奥が深いんです。けっこう面白いので、紹介しますね。

natureという単語は、この場合「天性」と訳すべきである。つまり「第二の天性」ということ。第一の天性は、もちろん生まれつき持っている能力。第二の天性は生活経験から身に付いた能力、習性、性癖など。たとえばPCのブラインドタッチとか、車を運転するとか。いわば「知が身体化した状態」とも言える。「習慣は第二の天性なり」という言葉で表されるように、長年染みついた習慣は人間を完全につくり変えてしまう。習慣は天性の10倍も力強いと言われる所以である。

さて、前置きが長くなりました。さっそく歌詞を訳していきます。全部は長いので、途中のいいところまで。クラプトンは「第二の天性」をどのように表現しているのでしょう? 一生懸命訳しました。誤訳あるかと思いますが、あしからず。。f(^^;)


Second Nature/Eric Clapton



You walk into the room, you know what’s on my mind

You know just how to reach me, baby, without even trying

Don’t need no one to tell me, this is leading to

‘Cause something deep inside of me is dragging me to you

部屋へ入っていくおまえ 俺の心の中なんてお見通し

おまえは俺との微妙な距離を知り尽くしてる ・・恐いくらいにな

言わなくてもわかってる どうせこうなる運命なんだ

おまえ無しではいられない俺 心の奥底でおまえを求めるから

So roll the dice, baby, see what the future brings

Sure feel like a right time, you to spread your wings

Ain’t no one but you, baby, ever stopped me in my tracks

Once this thing gets rolling darling, well there ain’t no turning back

だからサイコロ投げちまえ その後どうなるかはお楽しみ

今だよ今しかない おまえの翼をひろげるときだよ

俺の愚かな歩みを止めてくれたのは、おまえただ一人

始まっちまったもんは、なあおまえ、もう引き返せないんだよ

Second nature

To look at what we’ve found

Second nature

You know we’re heaven bound

No need to think about it

You know we’re safe and sound

Second nature

For you to come around

逃れられない性(さが)

拾ってきたものを弄ぶだけ

古びた習性

天国行きなんだぜ、そうだろ

何も考えなくていいんだ

大丈夫、間違いないんだって

拭いきれない心のしみ

おまえは結局俺のもの

So take me to your heart baby, and lead me to your door

Take me in your arms baby, never leave me any more

Ain’t no one like you baby, to stop me in my tracks

All I know for this old heart, well I ain’t no turning back

だから俺のことを想ってくれ そして受け容れてくれ

温かく包んでくれ 俺をもう置いていかないでくれ

俺のしみついた癖を直してくれるのは、おまえしかいないんだよ

この古ぼけたハートじゃ、どうしたって、もう引き返せないのさ


クラプトンの歌う「第二の天性」とは、かなりネガティブなものらしい。「知の身体化」とは真逆なんだね。そう、上に向かっていない。ずばり、堕ちていく男の「どうしようもない弱さ」だと思う。ある意味、めちゃめちゃ格好悪い。でも・・よく考えてほしい。男って、みなどこかにこういう「どうしようもない弱み」って、あるんじゃないかな? クラプトンは、そうした「人間(特に男性)の弱さ」を熟知した人だと思う。熟知どころじゃないな・・それを表現することが、まさに彼のライフワークじゃないの?

本作は「second nature」という言葉に、新機軸を与えている。もちろん、負の新機軸ね。澱のようにたまった男の古びた習性・・これって「愚の身体化」だよね(笑)。個人的には、太宰とか連想しちゃうね。男の哀しい性(さが)を考える。歌詞は言い訳っぽいけど、クラプトンは実に力強く歌い上げる。愚かな男の本性を慰めるように。そう、本作は「男の宿命的な弱さ」へのレクイエムなのだ。まるちょうは、このうたの向こうに墓標が見える・・ウソ(笑)。以上「Second Nature/Eric Clapton」で語りました。