オレがうつになりまして。

今日はショートBlog書きます。題して「オレがうつになりまして。」

10日に映画「ツレがうつになりまして。」を観た。とてもよい作品で、中盤から涙腺のタガが見事に外れ、心地よい涙がホロホロ・・ うつという深刻なテーマを、こんなふんわりとした世界観で描き切った細川貂々さんはすごい! そしてそれを忠実に映像に昇華させた佐々部監督もすごい! 青島武さんの脚本が素晴らしい。観終わった後、ちょっとした多幸感が私を包み、これをどうしてBlogにまとめようかと、ちょっと見当がつかなかった。

まるちょうは「双極性障害=躁鬱病」を患っております。いちおう寛解状態ですが、もちろんたくさん薬は飲んでいるし、ちょっとしたストレスや負荷で躁鬱の波が押し寄せてきます。9月の中旬にちょっと無理めの仕事を引き受け、それ以来、あまり体調はよくなかった。今月の2日に神戸でジャズのコンサートに行く。これはどうしても行きたかった。大いに感動し、それはよかったのだが・・ やや不安定な波を孕みつつ、時はすぎ、上記の10日を迎える。自分のありったけの力を出して、Blogを書こう、そして佐々部監督に読んでもらおう、と思った。やはり自分自身がうつ病の当事者であり、私にしか書けない世界があると思ったから。でも・・なかなか行動に移せない。意欲が今ひとつ。書きたいけど、書けない・・


そうして運命の12日(水)を迎える。その日は午前が9時から京都市内のT診療所で総合内科外来、午後はK診療所で心電図の読影。そして、外来業務で事件は起こる。それでなくても超忙しい中で、80代半ばのKさんが外科外来で倒れた。そうして内科の処置室へ運ばれる。呼ばれるのは、自称ベテラン内科医の私だ。こうした時、頼られるというのは一種のステイタスだ。ちょっと嬉しい部分もある。しかしだ。この忙しい最中に、救急診療的なことをするというアクロバット。Kさんはショック状態で、意識レベルも落ちている。脱力はあると思うが、思うように診察できない。とりあえず、ルート確保と採血のみ実施して、もとの外来業務へ戻る。これがまたてんこ盛り。通常業務の合間を縫って、Kさんの診療を進める。だって、急に心停止とかなったら、たまったもんじゃない。その責任は、いつのまにか私に負わされている。

採血はNP。頭のCTも心電図もNP。血圧は戻ってきた。意識もだいぶ戻ってきている。この間、数時間くらいだったか? 脳梗塞はあり得ると思っていた。診察の順序が全然おかしいのだが、上記の「アクロバット診療」を想起して欲しい。教科書的な診察は無理なのです。最後に「あ、麻痺の有無を診ていない!」となって、左下肢の完全麻痺、左上肢の不完全麻痺を確認。初めに診ろよ!というあなた! オレは泣きそうだよ。勘弁してよ。ERのグリーン先生が責められている場面思い出しちゃうよ。

結局、脳塞栓による脱力、ショック、意識障害と診断して、関連病院へ搬送した。それが15時半頃。まだ外来患者さんは残っていて、この人がまた多弁さん。そうですか、そうですかと傾聴して全て終わったのが16時。むごすぎる。

それから心電図読影のため、K診療所へ。遅い昼飯を食って、もちろんすぐに始められない。その日は運よく少なめで540枚。17時半頃から読み始めて、全て仕事完了が19時。

普通の人なら、これでよいかもしれない。でも、私は「双極性障害」の患者なんです。なんで、こんな無茶苦茶な負荷をかけるんです? 人の使い方がおかしいんじゃないの? 所詮オレは、消耗品かい? 組織の意味ってなんなの? あ、オレ非常勤だった。部外者なのね、結局。気づくの遅すぎ。

そういうわけで、当然ながら、翌13日は一日寝てました。うつの極地へどーん! 意欲も何もない。生ける屍とはこのことか。19時頃、なんとか起きて、翌14日の午後の心電図読影をキャンセルしてもらう。ありがとう、K診療所のYさん。出張先だというのに、光速の仕事でした。お見事。

というわけで、14日(金)は午前のみの仕事。またT診療所で総合内科外来。ここでまた事件勃発。12時過ぎに、50代半ばの男性が、順番待ちに関して非常に強いクレームをぶつけてこられた。看護師も交えて話し合う。私の状態としては、躁鬱の躁状態が前面に出ている感じ。怒りを抑えられないのね。自然と話すトーンも激しくなる。看護師も責めたりする。かなり消耗する話し合いとなった。いちおう患者さんは了解され、私は診療に戻るが、キーボードを叩く指は、ブルブル震えていた。患者さんも、それを見てか、若干優しい感じになられた。

そうして、14日も躁鬱の大波にさらわれ、踊らされ、苦しまされて、終了は15時頃。その夜は、うつではなく、躁の「怒りの感情の暴発」がtwitterに向けられた。自分でもあんなん珍しい。むき出しの傷つきやすい魂が、140字に表現されていた。

そんなこんなで、Blogどころじゃないです。早く書きたいし、たぶん読みたい方もいらっしゃる?(いないか)だろうし、書きたいけど・・ 書けないです! こんな調子じゃ、映画の感想Blogなんて問題外のそとです。←ふるい オレがうつになりまして・・すんません「ツレがうつになりまして。」の感想Blogは、もうしばらくお待ちください。診療所との勤務体制についての交渉も必要。どう考えても、こんな体制では厳しい冬の外来を越せない。

オレがうつになりまして。長文になっちまいました。ショートじゃないな。とりあえず、これでアップします。まるろぐ読者のみなさま、ごきげんよう。