W杯で感じたこと

「罪と罰」シリーズを連載中なのだが、ちょっとW杯のことについて書いておきたい。昨日の対パラグアイ戦があまりにも感動したので。29日の日本時間23時にキックオフで、終了が30日の午前2時前くらいだったか。まさに死闘だった。見終わった後、体が火照って寝付かれない。大いに寝不足で、30日の勤務は相当こたえたけど、なんとか切り抜けた。それにしても、あの試合内容・・あの緊張感の持続。前後半90分+延長前後半30分という長さ。この長さだけでも凄い。いわゆる消耗戦である。日本はワントップの守備的なシステム。だから、そうそう決定的なシーンというのは出てこない。本田の惜しいシュートや松井のクロスバーとか、ゴールに絡む機会はよく作ったほうだと思う。もちろん、実際に点が入らなかったのは残念だけど・・


むしろ、まるちょうが心配していたのは「守備の集中力が途切れないこと」。守備的なシステムで戦っている限り、これが生命線である。わが侍ジャパンは、この点については満点の出来だったと思う。駒野、中澤、闘莉王、長友の4バックはよく耐えたと思う。もちろん、守備的な意識は全ての選手に浸透していた。まさに岡田ジャパンは「全員で守りきった」のである。まるちょうは、このことを一番評価したい。「先取点がどちらに入るか」を注視していたのだが、結局どちらにも入らなかった。こうなると根比べ。延長戦でパラグアイが強引に攻めてくるのを、日本はよく耐えた。これだけの高いテンションを120分という長時間持続した選手と監督に、脱帽である。

PKは運でしかない。駒野が外してしまったけど、こんなの全然気にしなくていい。彼は本戦のほうで十二分に守備で働いている。胸を張って、日本に帰ってきてほしい。でも気にするなという方が無理かな? しばらくトラウマになるかもしれないけど、なんとか乗り切ってほしい。

さて・・告白すると、まるちょうは本大会は全然期待していなかった。どうせ予選敗退だろう・・そう思っていた。だって、大会前の試合が悪すぎたもんね。システムをどうするのかも右往左往したし、もう不安だらけだった。言い過ぎかもしれないけど「光明」なんて少しもなかった。W杯前のメディアの論調を振り返れば明白である。どこも辛辣だ。言いたい放題。岡田監督の心労って、どれほどだっただろう? ほんと、計り知れないよ。今でこそメディアは岡田監督を持ち上げているけど、負けてたら、けちゃんけちょんだよ。「W杯の監督」という職業の過酷さは、やってみた者にしか理解できない。「もうW杯監督はしない」というコメントも大いにうなずける。岡田監督、お疲れさまでした。帰国してゆっくりして下さい。

それにしても、今回のチームが素晴らしかったのは「一体感」。「谷間の世代」と揶揄されながら、よくこれだけのチームを作り上げた。 闘莉王が「自分たちはヘタクソだから、それなりにプレーしなければいけない」というようなことを言っていたように思う。華麗なサッカーではなく、泥臭いようなサッカー。ハートで負けないサッカー。そうした精神面での話し合いも功を奏し、全選手に浸透していた。

デンマーク戦での快勝は、本当に快感だった。渋谷スクランブル交差点でのハイタッチ現象も、後年の語りぐさになるだろう。いい夢を見せてもらった。岡田監督は次のようなコメントを残している。「このチームは全員が目標に向かって一つになれる。サッカーがチームプレーであることを証明してくれた」・・まさに実証してくれた。ほんとに。

最後に、岡田監督と選手の皆さん、お疲れさまでした。いい試合を見せていただき、本当にありがとう。大会前から、もう少し期待しておくんでした。当事者は、ちゃんと信念を持ってやってたんだよね。メディアの言いなりになっていた自分を反省します。長谷部とか大久保が言ってたと思うけど、このチームであともう一試合戦うのを見たかった! これ、誰もが思ってるんじゃない? これで解散というのが、とても惜しい。四年後、またこうした「苦闘につぐ苦闘の末の結実」で、よいチームができるか? W杯の中で成長するチームを見ることができるのか? 難しいことだけど、期待したいと思います。以上、W杯で感じたことを書いてみました。