動物が主人公のCM

YouTubeを語るコーナー! 今回は動物が主人公の名作CM二本をネタに、いろいろ語ってみたい。まるちょうは「動物に対する思い入れ」というものが、客観的にみて少ない人間だと思っている。前回の「ねぇ、マリモ」にしても、確かに泣けるんだけど、その一方でどこか冷めた自分がいる。結局「小さいものの可愛さ」への感度が乏しいのかもしれない。だから「ペットを飼いたい」という欲求は、ほとんど無いに等しい。動物が主人公のCMを、こんな不適格な人間が語るというのは若干茶番かもしれないが、とりあえず行ってみよう!



ひとつめは「サントリー・トリス」のCM。

これ、ワンコ好きにはたまらんだろうな。動きがいちいち可愛いし、目が離せないというか、どうにも惹き付けられてしまう。子犬の「幸薄い感じ」が、独特の陰影のある映像で「ビタリ」と表現されている。ビリー・バンバンのBGMも効果的。

1981年に放映されたCMで、その年のカンヌ国際広告映画祭のCM部門で金賞を獲得している。撮影は日本映画界を代表する名カメラマン、宮川一夫。黒沢映画「羅生門」を撮っている人。Wikiによると、場所は京都らしい。

いろんな命が生きてるんだなぁ
元気で とりあえず元気で みんな元気で

YouTubeのコメントにもあるけど、最近はこうした「後でしみじみ来る」CMって極めて少ない。商品の美点を並べたて押し付けて、目にも耳にもうるさい。情報の流し方が効率化、明確化され過ぎて、面白味が失われている。本作は商品の宣伝としては、全く遠回りだし、曖昧だけど、観た後に確実に「何か」が残る。名作たる所以だろう。こんなCMは、もう出てこないかなぁ。



ふたつめはは「ソニー・ウォークマン」のCM。

猿が芦ノ湖をバックにウォークマンを聴きながら、直立して瞑想にふける。このあり得ない状況を映像にしてしまったところが、凄い。直立して瞑想する猿が「進化の象徴」として描かれ、当時のウォークマンの先進性を、しかと捉えていた。

音楽は、時々、僕を救う

猿は本当に瞑想しているように見えるが、Wikiによると、実際には音楽を聴いて瞑想していたわけではないという。長時間のCM撮影に疲れて眠くなりかけていた状態だったと伝えられている。1987年に放映されたこのCMの「主人公」は、オスのニホンザル「初代チョロ松」で、東京・代々木公園で大道芸をしていたところを「スカウト」され、あのソニーのCMに出演する運びとなった。

「It’s a Sony」ソニー全盛の頃だねぇ。このCMはもちろん当時の話題をかっさらい、CM大賞・最優秀スポット大賞を受賞し、日本だけでなく世界で注目を集めた。初代チョロ松は1990年に現役を引退、2007年に老衰で亡くなった。享年29歳・・人間でいうと約100歳の大往生だった。iPod全盛の今から考えると、まさに「光陰矢の如し」である。

以上「YouTubeを語る」のコーナーでした。