気管内挿管

5日の午前中は、京都市内の病院で救急番を担当していた。4月13日のBlogで「救急を担当するにあたり意識変革があった」と記したのだが・・ その気構えの甘さを痛感する出来事があったので記しておきたい。

10時頃、当直室でくつろいでいると、他院の医師から一本の電話が入った。「心肺停止の80代の女性を、今から運びます」。集中治療棟は空きあり受け入れには問題ない。内心動揺しつつも、了解との返事をした。挿管は既にされているんだろうか?・・それが一番の心配事だった。心マならいくらでもする。でも挿管は・・

入院が必要な他の患者さんも数人いたので、本当にバタバタ。全く精神的な余裕もなく、その心肺停止の患者さんは到着。心拍は既に再開しており、一応自発呼吸もある。喉頭部にエアウェイが入っていたようだ。救急隊の申し送りで専門用語がイマイチ解らず焦った。すぐに集中治療棟に上げるつもりだったが、患者さんがひどく嘔吐しだした。苦悶様表情。内心かなり動揺していたが、やはりここで挿管しなければまずいと判断。なんとかやってみることにした。


そして・・結論から言うとまたしても失敗に終わった。食道挿管。よくやるミスである。一時酸素飽和度がガタンと下がって冷や汗をかいたが、アンビュを懸命に揉んで、なんとか来院時程度まで戻した。看護師の気の利いた配慮で、若手医師が集められ、その中の経験のある医師に挿管を頼んだ。特に問題なく挿管完了。みんなやれやれといった感じで、患者さんは集中治療棟へ運ばれて行った。

その後私は他の患者さんの入院手続きなどで忙殺。でも、そうした作業の中でも、自分のふがいなさを嘆くもう一人の自分がいた。意気消沈。仕事しながらも、心の底では意気消沈していた。なんで俺はこうなんだろう? そのうち、自分が救急番なんて相応しくないのでは?なんて女々しい気持ちも湧いてきて、結構辛かった。

その日の午後は別の診療所で心電図の読影。確か950枚以上だったと思う。午前のそうした緊張の影響が残っていたのか、途中で居眠り。少し寝た後は、やや気持ちもしっかりして、やはりちゃんと失敗を分析して次に繋げなければ、と思うようになってきた。

日経メディカルの関連商品で、気管内挿管の手技を系統的に教えるDVDがあることは、以前から知っていた。でも、なにぶん高価。年に数回もないくらいのことに、二万弱もの投資をすべきか? いつも躊躇して結局「今はやめとこう」という判断だった。ちなみに、お蝶夫人♪はずっと前から「必要なことだから、ぜひ買って下さい」という立場。結局、今回の経験で購入することに決めた。いやしくも救急番を任されて、それで給料も貰っているのだ。私の仕事に対する姿勢は、プロと呼ぶにはあまりにも甘い。

そんなわけで、挿管に関してDVDで徹底的に勉強するつもりです。Webで少しだけDVDの中身が紹介してあるんだけど、もうそれだけで目から鱗落ちまくり。多分、コツを押さえてちゃんとした理論に基づいて行えば、それほど難しいことではないんだと思う。要するに我流だったんだね。反省しきりなのでした。

以上、やや専門的になりましたが、最近の仕事に関する所感を記しました。