BJによろしく(精神科編)/佐藤秀峰

またもや体調不良あり、更新できませんでした。でも、そんな時でも、週イチでは続けたい。まぁ、ある意味執念だな(笑)。

「ブラックジャックによろしく(精神科編)」(佐藤秀峰著)を読んだ。この漫画は以前からまるちょうのお気に入りで、これまでにも「心臓外科編」や「ベビーER編」「がん医療編」などが印象的だった。あり得ないと思われる部分も多々あるんだけど、そういう余計なツッコミは抜きにして、いろんな問題提起をしてくれるのがよい。精神科編は、第9巻から第13巻にわたる。


精神科編は、統合失調症(以前は精神分裂病と呼ばれていた)という病気を理解するのにはうってつけだ。国籍や民族に関係なく、およそ1/100の確率で起こりうる、ありふれた病気であること。1/100という数字は、胃潰瘍と同じくらいの数字である。症状自体は、薬を飲むことにより、ある程度抑えることができる。犯罪を起こす確率は、特に高いということはない。つまり、特に危険ではない。

したがって「統合失調症とはキチガイで、野放しにしておくと犯罪を犯す」という認識は、もちろん間違っている。現在では、よい薬が開発され「コントロールできる疾患」という位置づけになっている。しかしそれでもなお、社会に根付く偏見はなかなか消えない。このストーリーでは、そういった社会を変えようと、二人の戦士が立ち上がる。精神科医伊瀬谷と新聞記者門脇である。

物語は、小沢さんと早川さんという二人の統合失調症の若者の恋を軸に描かれる。その恋を、ひとつの重大事件が引き裂く。その結果、小沢さんは病院の屋上から飛び降り重体。早川さんは、病の再燃で保護室へ。絶望的な局面となるが、前述の二人の戦士は、渦巻く時流に各々の方法論で立ち向かう。そうして、ごく静かに、わずかだけど、社会に変革が訪れる・・

このストーリーで、まるちょうが一番感動したのは、やっぱり小沢さんと早川さんの愛やねぇ~。この二人が寄り添って、親密な雰囲気を作るシーンになると、とても温かい気持ちになれた。二人とも、統合失調症という絶望的な状況にある。そんな暗闇の中で、二人の愛は、まさにほのかに灯る炎である。そのわずかだけど確かな炎の力で、小沢さんは自立への一歩を踏み出そうとするし、早川さんも一歩前進して、病識を持つようになる。愛の力って、すごい。こうしたシーンに出逢うと、まるちょうは目頭が熱くなります。

ひとつ難点をいうとすれば、この精神科編は5巻ではなく4巻で表現できたのでは?ということ。最後の方が、やや冗長になっている感がある。4巻でコンパクトにまとめた方が、読後感としては良かったのではないか。

さて、研修医の斎藤先生は、次はどこの科へローテートするのかな?(笑) 第13巻の最後の「僕は自由だ・・ 僕が全部壊してやる 僕が全部創ってやる」というセリフは、研修医と思えない僭越な言葉だと思う。こんな研修医、ほんまあり得ないよ! 次回はどんな活躍をするのか楽しみです♪