思春期にがんばってる子/明橋大二

思春期にがんばってる子」(明橋大二著)を読んだ。ダイゴは現在中学一年生。まるっきり学校へ行けないというわけではないのだが、毎日相当にしんどそう。また、反抗期のまっただ中でもあり、言うことをなかなか聞いてくれない。私はまだいいけど、母のお蝶夫人♪は、毎日大変です。そんな中、ふとこの本が目にとまった。もともとは、お蝶夫人♪の蔵書なのだが、とてもよい本なので紹介することにした。

結論から言います。思春期の子どもを持つ親は、全てこの本を読むべきです。子育てについて、とても啓蒙される事柄がたくさん記してある。まるちょうとしては、自分の親の子育てをも、ちょっぴり批判的に回顧したりして、感慨深いものがあった。


印象に残った言葉をふたつ記す。

「甘えない人が自立するのではなくて、甘えた人が自立するのです」
子どもを自立させるためには、どうすればよいか?という命題がある。自立しよう、という意欲のもとになるのは「安心感」です。安心感はどこから培われるかというと、「甘え」なのです。子どもの時に親に充分に甘えることができなかった人は、青年期にうまく自立できないことが往々にしてあるようです。あるいは、子どもを甘えさせるつもりで、実際は親が子どもに甘えている場合がある。その場合は、自立を促すためにちゃんと親から突き放すことができるか?明橋先生は心配されている。

「子どもができることを、先回りして大人がやってしまったり、『できるはずがないだろう』と否定し、抑えつけてしまわない」
ひとことで言うと、子どもの自立を「見守る」ということ。決して「これをしろ、あれをしろ」などと、細かく指示や命令をしてはいけない。子どもがやれることは、できるだけ手を出さずに見守ること。そのために子どもが苦しむことになっても、それはそれで自立のひとつの過程なのだから。その時は、一緒に親も悩んで苦しむ。そういうスタンスがよい。また、子どもの可能性を信じてやること。そして、もし子供のやっていることがうまくいったら、当然ながら、十分に褒めてやること。まぁ、子どもがやる前に親がなんでもかんでもやっちゃう方が、ずっと楽で心配もないんですが、それでは子どもは育たないということです。

最後に、とても象徴的な考え方を示します。思春期の子どもにどう接していくか・・ひとつ面白い意見がある。

「子どもの後を『ついていく』ことだ」(芹沢俊介)
これ、まるちょうが凄く肯いた言葉です。子どもが「あっちへ行く」と言ったら、「分かったよ」と微笑んで後ろをついていく。子どもが恣意的に道を選んでも、じっとこらえて「分かったよ」とついていく。子どもが立ち止まったら、こちらも立ち止まる。子どもが歩き出したら、こちらもついていく。歩き出さない場合は、ちゃんと歩き出すまで待ってやる。あまりのわがままに「もう知らん!勝手にしろ!」と突き放したとしても、やっぱり心配だから、後をついていく。もし、子どもが不安になって後ろを振り返ったら、そこにはちゃんと親がいて、「大丈夫だよ」とうなずいてやる。そして、崖っぷちなど、本当に危ないところに向かっている場合は、きちんと止めてやる。

所詮理想論だという見方もあるだろう。でも、理想はちゃんと押さえとかないとね。「あれはこうすべきだったんだな・・」という感じで、その場その場で自問自答しながらするのが、子育てだと思うのです。