色鉛筆画、将棋棋士シリーズ第三弾。今度は渡辺明現名人を描いてみようと思います。僕の方法論では、モチーフとなる写真のレベルが、まず大事。別に渡辺さんのファンでもなんでもないんですが、この写真が素晴らしい。おそらく夜の終盤戦、顎ひげが濃く、疲労をうかがわせる。眼差しは険しく、まさに「戦う漢」の図である。フォトグラファーは、こうした一瞬を逃さない。大したものだと思います。
僕の印象では、渡辺さんはどこか「なるようにしかならない」という哲学のようなものをお持ちだと思う。だから人間や物に対して「見切り」がすごく強いと思う。その瞬間的な判断が、やはり天才的と言えるのだけど、時としてそれがマイナスに働く時がある。現在進行中の名人戦。おそらく藤井さんが奪取されるだろう。渡辺さんは、藤井さんの天分を認めてしまっている。「藤井さんなら、仕方ないや」という、どこかさっぱりとした感情があるようにも見える。そう、さっぱりした人なんです。そして、どこか運命論者なんだと思います。
下絵を載っけておきます。六月いっぱいで仕上げる予定で。あ、そうそう、藤井さんの絵をもちろん描きたかったのですが、いいモチーフがない。Numberとか写真を集めたのですが、藤井さんの鋭い目つきのやつは、ゲットできなかった。彼はこれからが長いので、フォトグラファーがいい仕事をしてくれるのを願っています。