「あれ? なんか気持ち悪いぞ?」地獄というやつは急にやってくる。18日(金)の夕方。おいらは帰宅後、仮眠をとろうとしていた。異様にお腹がグルグルいう。「疲労からのIBS?」と訝しむが、グルグルがしつこい。神経性にしては、あまりにしつこいぞ。おいらは自分に不都合な事実はねじ曲げたい性分である。知らんふりして寝ようとする。でも「ゴロゴロゴロ~!」とお腹が寝かせてくれない。ずーっと知らんふりしていたが、次第に気分が悪くなってくる。七時半くらいだっただろうか、微かな吐き気が出てきた。「つ、ついに・・」おいらは、ちょっとだけ観念した。いや、まだ吐くとは限らない、もう少し耐えよう。吐き気が数回、地獄の足音のようにあとを追う。もう完全に観念した! おいらはトイレに向かうと、便器に向かってスタンバイした。しばらくしておいらの口から、地獄の使者がドバドバと出てきた。涙がでた。五回くらい吐いただろうか。はあ~、全部でたかな。粗相はしていないようだ。トイレットペーパーで便器を拭いて、トイレから出た。まいったな、急性ウイルス性胃腸炎かよ。水曜日の外来で、患者さんからもらったかなぁ? 十分に手洗いはしているんだけど。
トイレから出ると、嫁がマスクと手袋をして鬼軍曹のように立っていた。手には次亜塩素酸スプレー。その目は完全においらを排除すべき物体として認識している。嫌悪と怒り。彼女は日ごろから、おいらの「総合内科医としての感染症対策への甘さ」を指摘する。おいらは元々うっかり八兵衛なので、どうしても厳格さは欠ける。涙目のおいらに対して彼女が抱く感情は「嫌悪と怒り(二度目)」しかない。おいらは単に「ノロウイルスを家庭に持ち込んだ馬鹿野郎」に過ぎないのだ。
そこから嫁の徹底的なトイレ掃除、汚物処理が始まる。そしてすぐにアクエリアスや紙コップ、その他必要物品を買いに外へ走る。ありがとうございます。おいらは恒例の紙オムツである。これは2012年、同様にウイルス性胃腸炎になったとき、ベッド上で便失禁をしたことに由来する。あの時よりはウイルス量が少ないと思ったが、アクエリアスは少しずつしか体に入っていかない。これは経口摂取についてはちょっと時間がかかるな、という印象だった。すると、明日土曜日はお休みするしかないか・・ いやなんと無念。仕事に穴をあけるのは、なんとか避けたいけど、これでは行っても邪魔になるだけ。仕方ないか。
その晩、気分不良でほとんど眠れず。やっぱ無理やな~ 観念した。19日(土)の朝8時前にT診療所の事務長さんに事情を連絡。正式に休診となった。その日はずっと寝ていた。やっぱウイルス性胃腸炎、なめたらあかんぜよ。いくらでも眠れる。嫁が夕食に雑炊を作ってくれた。美味しく食べることができた。回復は早かったが、やはり20日(日)のK診療所の健診外来は休んだ方がいいかな。嫁はそう勧めてくれた。無理は禁物、そうしようか。K診療所のH課長さんに、その旨連絡する。わりとすんなり了解をえた。
土曜日の夜、自室でぼんやりとする。胃腸炎はかなり回復している。明日と明後日(20日と21日)はお休み。それほど集中力は出せない。何をして過ごそうか~ おいらは自然と半蓮華座をしていた。右足を左の太ももの上にのっける。おいらはこうしていつも、瞑想に入っていく。五分くらい経ったころ、異変が起きた。腰のあたりに、違和感が流れたのだ。「ん?」となるが、別に痛くもない。しばらくして足を組み替える。が、組み替えれない! 痛いぞ! あれ、なにこれ? 体が動かせない! 仰向けに寝るのはいける。しかし、起き上がろうとすると、腰に激痛が走る。おいらはどうにもできず、薄闇の中で仰向けに寝ていた。嫁が風呂から上がったようなので「起きれへんわ~」とSOSを出してみる。嫁はこんなときにヨーガなんかして! と怒る。すんません。
結局、嫁と息子ふたりがかりで、寝室のベッドへ運ばれた。まさかのヨーガしてギックリ腰かよ~ おいらの腰はどんだけもろいのよ。結局、次の日(20日)は、これまたずっと寝ていた。これって、痛みもあるけど「自分にガッカリ」みたいな、意気消沈ですよ。K診療所を休診手続きしといてよかったわ。
嫁が整外科でコルセットもらってきたら?と提案してくれた。それはいいかも。おいらは腰が悪いくせにコルセットに関しては疎い。21日(月)の朝、自宅から徒歩1分のところにあるN整外科を受診。コルセットと薬を処方していただいた。コルセット、これいいね~! 逆になんでこれまで、コルセットのことを思いつかなかったんだろう。嫁に感謝である。今回のギックリ腰は、根症状はない。コルセットで腰をうまく固定して慣らしていけば、なんとか行けそう。かくして見通しはたった。22日(火)から、仕事復帰したのでした。ただ、22日の仕事がいきなりべらぼうにきつかったので、白目剥いたのですが。まあ、仕事で貢献できるというのは、幸せなことです。このたびは、各方面にご迷惑おかけしました。体の調子を整えながら、また役に立てたらいいと思います。これからもよろしくお願い申し上げますm(_ _)m