近況・・大雨災害来る、まるちょう京都漂流す(その壱)

ご存じのとおり、7月5日ごろからの西日本の大雨。5日の時点では、ここまでひどいことになるとは思ってませんでした。6日の朝、起きてみるとJRが動いていない。そうなると、滋賀から京都へ行く手段は、ほぼ無いに等しい。そこからまさに「右往左往」の三日間が始まったのでした。濃密な三日間を、いちおう書き留めておきます。

7月6日(金)

いつも通り6時半に起きて、ヨーガする。NHKでは大雨のニュースをやってる。JRがあちこち運休らしい。あれ? 目の前の栗東駅も人気がないぞ? ネットで確認したら、やっぱり琵琶湖線と嵯峨野線は運休。朝食を食べて、さてどうしようか? 京阪浜大津から地下鉄東西線へ入る経路はあるが、このときは倒木で運休。それでも強いて行くとすれば、山科まで車で行って、そこから地下鉄という経路はあるが、どうせ国道は渋滞だろうし、家族にも迷惑をかける。じゃ、バスを探すか? あるいはタクシーで? いろいろ考えるが、国道はけっきょくやっきょく大渋滞である。山科まで4-5時間くらいはかかるだろう。現地へ到着したら、もう昼だ。使い物にならない。ここはきっぱりと「本日はお休みします、戦力外です」という意思表示をすべきだ。管理者としては、その方が分かり易いだろう。で、8時前くらいだったか、K診療所の事務長さんへ連絡をいれた。6日は四診体制で、一人抜けてもなんとかなるだろう、との判断もある。それにこんな大雨で、患者なんか来るもんか。


午前は休診。午後の心電図をどうするか? なんとか円町付近へ出る方法を模索する。あーでもないこーでもない・・しているうちに寝ていた(爆)。起きたら昼過ぎ。まだJRは復旧の見込みなし。心電図の仕事キャンセルメールだす。これは受理された。さて、土曜日と日曜日の仕事をどうするか? その頃には京阪京津線の倒木は解除されていた。妻は浜大津駅まで送っていいと言っている。それじゃ、ホテルを二泊確保しないといけない。これがなかなかないねん。当日の話だし、なかなかいいとこがない。あったとしても二泊で25000円とか。なんで仕事のために、ここまで自腹払わなあかんねん。アホか、社畜か。

ぶち切れて、二通のメールを送る。もちろん、土曜日(T診療所の外来)と日曜日(K診療所の外来)キャンセルのメール。しかし何故か、K診療所Hさんへのメールは届かず戻ってきた。そしてT診療所S事務長さんから電話あり。「土曜日はなんとか来れませんか?」との由。必要とされるということは、悪くない気持ちである。確かに土曜日、二診ではやや心許ないか。大腸癌の告知もあったりするし。これは腹をくくって行くしかない。ただし! ホテルを探さないと、話が始まらない。ネットでしらみつぶしに探していく。

あった! 四条烏丸下がるの「ファースト・キャビン」。簡易的なホテルで、二泊で11000円くらい。まあ、ちょうどいいかな。スーツケースに二泊分の荷物を詰め込んで、いざ京阪浜大津駅へ出発(その時点で、まだJRは動いていない)。息子が運転、妻がナビ、私が後部座席。当然のことながら、近江大橋から湖岸道路は大渋滞。とにかく動かない。息子は我慢強くアクセルとブレーキを操作する。結局二時間くらいはかかっただろうか? あるいは三時間? ちなみに息子と妻は、自宅へ戻るのに更に三時間かかったようだ。すんません。

浜大津駅から首尾よく烏丸御池まで移動。私はもうすでにかなり疲労していた。まずキオスクで缶コーヒーを飲んでいっぷく。ICOCAはチャージしておいた方がいいな。財布をみると現金が3000円のみ。あっちゃー。とりあえず、セブン銀行でカネおろさなあかんわ。こうして「混乱という名の異次元」に取り込まれていく。そのとき私はてっきり「市役所前」にいるものと勘違いしていた。そやそや、19時やしメシ食ってもいいな? ゼストでメシ食ってしまおか? みたいなノリになっていた。スーツケースをがらがら走らせながら「あれ?ゼストないやん?」 ゼストが消えた? 俺のゼスト? おれおれおれの夕飯は?

発作的にスーツケースを抱えて階段を上る。地上に出て、河原町三条の王将で食べるのだ! がらがらとスーツケースを転がしながら見える、その景色は「烏丸御池」だった。俺は疲れている。いったん正気に戻ろう。御池通の向こうにセブンイレブンが見えた。しめた、ここでカネをおろそう。とりあえず、一万円おろす。そしてすぐに地下へ降りて、ICOCAに5000円くらいチャージしよう。・・と思ったら、千円札オンリーなのね、ガックリ。しょうがないので、手持ち3000円を投入。これで三日間の交通費はまかなえるだろう。

烏丸四条へ。ちょっと考えて、まずはホテルにチェックインすることに。ちょっと迷いつつ、なんとか「ファースト・キャビン」にチェックイン。簡単な説明を受けて、417号室へ。ベッドは悪くないが、部屋の鍵はない。セキュリティーは甘いかな。それと冷蔵庫がない。安いから仕方ないけどね。とりあえず、べとべとのシャツなどを着替えて、すぐに外出。とにかく腹ぺこ。烏丸通りに出たところで、妻より電話。今ようやく自宅に着いたとのこと(20時)。車庫の鍵がなくなったらしく、あちらも大変そうだった。とりあえず、何でもいいから食べよう~ 目に付いたのが「ラーメン」の緑色の看板。外見はそれほど悪くなさそうだった。が、しかし、バット。入り口の扉を開いてみると、スゲーがらがらだった。イヤな予感。店員は薄暗がりに太って陰気そうな野郎ひとり。BGMはAKBだかなんだかのうるさい音楽がまあまあうるさい音量で流れている。「失敗した感」に包まれながら、唐揚げとライス付きのセットをたのむ。唐揚げは油っぽい、ラーメンはなぜか、とろろ昆布のようなものが乗っかっていて、黒っぽいところと白っぽいところがある。そこで微妙に味の濃さが違う。私はひたすら食中毒のことが心配だった。だって、頑張って京都まできたのに、仕事いけへんかったら何の意味もないやん。(あとで調べたら「ちゃあしゅうや 亀王 四条烏丸店」という店だった)

ラーメン屋さんをでたら、サイゼリアがあって、なんじゃらほい。明日の夜はサイゼリアを利用しよう。ホテルでシャワー(共同)を浴びて、イッパツ抜いて寝る。大型液晶テレビがあるのだが、なぜかスイッチが着かない。ボタンを何度押してもダメ。もうなんでもいいや、ってな感じで横になる。iPadからのネットニュースでは、大雨災害は拡大しているようだった。(つづく)