言葉より、そろそろ態度で示そうよ

ある夫の話 ☞ 職場で妻からのメールを受けた。風邪をひいたのか、体調が良くないという。夕食の準備は大変だろう。すぐに電話した。「食事は外で済ませる。家事はやらなくていいよ。ゆっくり休んでね」



私はこのやりとりをみて、特に問題を感じない。ごく普通だろうと思ってしまう。でも、世の女性たちの目線からすると、この夫は「ダメ夫」ということになるらしい。家庭での子育て支援が議論になった集まりで「こんな男、いるんだよね」とやり玉に挙げられたとか。ある女性作家は言った。「離婚だね」

これは新聞記事からの引用です。じゃあ、この夫のどこが問題なのか。まず、妻のSOSを受け止めず、外食で済ませようとしたのがいけない。妻の食事はどうするのか。残った家事は誰がするのか。


そうではなく、早めに家に帰る。家族の食事を用意する。家事をする。子供がいれば世話をする。病状によっては看病が必要になる。

こういう意識の中では、私なんかとっくの昔に夫失格である。私の場合、双極性障害という病を抱えているので、例えば一日働いたら、もう何もする余裕はない。私は私で、夫として精一杯やっているつもりである。でも・・やっぱり甘いんだな、意識が。家事はお蝶夫人♪がほぼ全てとり仕切っている。彼女がいなければ、うちの家事は回らない。根性のある人なので、ちょっとぐらい調子が悪くても、主婦としての務めを全うしてしまう。私はどうしても、それに甘えてしまうという構造がある。

かつて「VERY」という女性誌が、こう啓発したそうだ。

奥さんに「ありがとう」と言う前に、ストックの切れそうなトイレットペーパーを買ってこよう。言葉より、そろそろ態度で示そうよ。



ここでひとつ大事なのは、トイレットペーパーのストックを常に把握すべし、と言っているわけじゃないということ。男に「家庭でもしっかり働け」と小突いているのではない。あるいは「帰ってきても気を抜くな。ここは戦場だよ」とドスを効かせているわけでもない。彼女たちは、男に「ちょっとした思いやりを行動に移してほしい」と言っているだけなんだな。思いやりや優しい言葉は、行動に移さなければ、結局「ゼロ」にしかならないのよ、と。

妻がSOSを出しているときは、夫はしかと反応して確かにコミットすべきだ。その距離感は、各々の夫婦で違うと思うけど、ガチのSOSならば、夫はちゃんと身を削ってフォローすべきだと思う。逆に、何気ない普通の日常ならば、男は家に帰って「子供に戻り」たいですよ。あ、もちろん、ちょっとした思いやりは態度で示して、ですよ。「子供に戻れない」家庭ほど、男にとって辛いものはない。職場で戦ってきて、帰ってきた家がまた荒涼とした戦場だったら、それはたまらんですわ。これは男の言い分としてね。

まるちょうは13年間の結婚生活の中で、お蝶夫人♪に鍛え上げられてきました。私はずっと「ドジでのろまなカメ(懐かしいですね)」で、彼女の言いつけをいつも忘れ、その都度、なじられてきました。でも、やはり13年という歳月の力はすごい。結婚当初に比べれば、かなりマシになってきたんじゃないかと思っています。ま、それでも元来が気の利かない人なので、限界はありますが(笑)。野暮な男って、つきあい始めの頃は素朴な感じがして好まれるかもしれませんが、結婚後もずっと野暮だったら、それは女性が辛い。冒頭の女性作家なら「廃棄処分」とか言いそうですね。こわいこわーい。まあ、マメな男も、それはそれで問題がありそうで・・ 結婚生活って、ホント難しいものですね(笑)。