それが欲しいかなんてわからないんだ。
スティーブ・ジョブズが、こんな言葉を残している。これは「消費行動」における真理を、ずばり突いていると思う。商品を目の前にして、自分のニーズが整理されるというプロセスね。最近、腕時計を買ったときに、この言葉が腑に落ちたので、ちょっと語ってみたい。
腕時計といっても、安いやつです。3000円くらいの。仕事の帰り道、京都ビックカメラにふらり寄って、腕時計売り場へ。その時の私のニーズは「予算3000円くらい、シンプルなデザインで視認性よく、日付や曜日の枠はなし。そして、自分の太い腕にちゃんと収まるもの」。実はそれ以前にAmazonで1000円程度の同様な、ごくごくシンプルな腕時計(写真)を買っていた。メーカーはカシオで、文字盤などは申し分なかった。でも・・ただ一つ、ベルトの長さが短い。診療中など、ふと見ると、ベルトが短くて外れている。そのたびに直す。こうしたちょっとしたことが、すごくイライラする。ベルトをなんとか長くできないかと、いくつか時計屋さんを回るも、どこも「ベルト交換は無理です」とのこと。うーん・・( ;´Д`)
そうした経緯があり、上記のような「ニーズ」となった。日付や曜日の枠がない、としたのは「休日専用」にしたかったから。カジュアルな感じで、安く手に入らないかと、ふらりビックカメラに寄ったわけ。それほど買う気はなかった。売り場の雰囲気を確認するくらいのつもりで。どれも高いな~、という感じで帰ろうとしていたところ・・ セイコーのALBAという廉価ブランドで3000円程度の、視認性のいいやつ(写真)があった。「お、これ、イケてるやん」となる。かなり迷ったあげく、意を決して店員に「開封していいですか?」と尋ねる。そうして腕に装着してみると、やっぱりベルトが短め。このままでは、カシオの二の舞やな~。念のため、店員さんに「ベルト、長くなります?」と尋ねる。てきぱきと対応されて、LLサイズのベルトが一種類だけありますと。そのベルトは茶色の革のベルトで、悪くはなかった。ただし、1700円くらいの追加投資が必要。「うーん・・!」と唸ったが、こういうのを一期一会と言うのだろう。自分としても、この「気安く使える、シンプルな腕時計を探す」というタスクから解放されたい、というヘンな欲求もあった。そうして、予算オーバーだけど、その腕時計をお買い上げとなったのでした。
ボクの買い物、下手くそでしょ? 腕時計をひとつ買うにしても、別の腕時計を犠牲にして、ようやく自分のニーズが整理できたのね。それまでは「自分がどんな時計を欲しいのか」、ちゃんと分かっていなかった。ただなんとなく、ぼんやりと「シンプルで安いウォッチ」が欲しいと思っていた。ジョブズが言うように「どれくらいのシンプルさで、どれくらいの予算なのか」という具体的な線が、ちゃんと詰められていない。結局のところ、モノを買うに至るまでには、商品と向き合い、あーでもないこーでもないと思案することが必要なのだ。その試行錯誤の結果として「自分が何を欲しているか」というイメージが具象化される。
私という人間は、昔から「買い物下手」でしした。店に行って「自分が本当になにが欲しいのか?」が分かっていない子供だった。雑に言えば「欲のない子供」なんだけど、正確には「自分の欲求をちゃんと言語化できない子供」だったわけ。未熟さからくるカオス。これ、父からの遺伝です。生まれつき買い物が苦手としても、そのスキルは経験である程度、補うことはできる。たとえば、女性が総じて買い物上手なのは、おそらく場数を踏んでいるからだと思う。それなりに失敗もあり、自分なりのポリシーが形成され、次第に買い物上手になるわけね。
きたる四月、Apple Watchは買おうと思っています。これはAppleファンならば、やはり買いでしょう。今からAppleのHPを見て、ワクワクしている。こうした贅沢な腕時計が、うちの腕時計チームに加わるので、簡素なウォッチを探していたのです。ま、結局、5000円弱かかっちゃったけど。Apple Watchがどういうモノなのか、全然分かりません。これは「時計のようで時計でないやつ」と予想している。時計というか、モバイルガジェットなんだよね。毎日?充電が必要だとかいう噂もあるし。そして、厚みがけっこうあるので、きほん冬の長袖時は使えない。五月から九月くらい限定かな。もちろん、休日はOK。今から使用法について、あれこれイメトレしている。四月の正式発表が待ち遠しい。
買い物のワクワク感というのは、いいものですね。ちゃんと稼いでいるんだし、それ相応の消費はする権利がある。買い物を楽しもう。ネットもいいけど、やっぱり街にでて、商品を手にとろう。見て、触って、着て、思いっきり思案しよう。この「ひと思案」が、買い物の醍醐味だと思う。ビバ、買い物!ヽ( ̄▽ ̄)ノ 以上、買い物について、ちょっと語ってみました。