神経伝達物質について

16日のBlogの予告通り、今回は神経伝達物質(以下、脳内物質と記します)に関して書いてみたい。ある日、お蝶夫人♪が興味深い雑誌の記事を見せてくれた。クロワッサン4月10日号の「脳が活性化する『歩く』すすめ」という記事。脳内物質というと、とっつきにくい感じがするけど、この記事はとても俯瞰的に捉えていて好感が持てたので紹介します。

東邦大学医学部統合性理学部教授の有田秀穂氏が解説している。人間の感情の基本は「気持ちよさ」と「ストレス」に大きく分けられ、「気持ちよさ」はドーパミン、「ストレス」はノルアドレナリンが関係している。誰もが日常生活で受ける、さまざまなストレスで不快な気持ちになるのはいただけない。できればドーパミンがもたらす快感だけを味わいたいものだが、それだけに引きずられると、快感がなければ生きられない体になってしまう。例えば、お酒で酔う快感やギャンブルの刺激に溺れてしまうなど。つまり、依存症。

そこで、過剰なストレスや行き過ぎる快感にブレーキをかける役割を担っているのがセロトニンである。みっつの脳内物質を光の三原色に例えて、分かりやすく色分けしたのが右上の図。みっつの物質がほどよく相互に作用し合えば、中心の透明部分のように、クリアでバランスのとれた心の状態を作り出せる。


セロトニン神経が活性化すると・・

*嫌なことなどを受け流せることができ、爽快な気分に変える

*痛みの感覚が和らぎ、痛みに耐えられるようになる

*姿勢筋、抗重力筋にしっかりと緊張が起こるので、

 顔つきや肌の張り、姿勢がよくなる

*自律神経に働きかけて、交感神経が適度に緊張する

*クールな覚醒状態を生み出す


有田氏の研究で、セロトニンを活性化させる運動をすると、脳の前頭前野という部分の血流が顕著に増えることが分かっている。すると、どういった変化が起こるか?→意欲が湧き、他人の気持ちがわかるようになる。そして、集中していろいろな作業ができるようになる。「他人の気持ちが分かる」とは、この場合、非言語的なコミュニケーションを指す。共感力とも呼ばれ、相手の仕草や表情、動作などからその人の心理状態や意図を読み取り、相手を理解するというもの。そのため、前頭前野は「第三の目」とも呼ばれる。そして、この前頭前野は主に歩くことにより活性化する。

以上のように、セロトニンという脳内物質は重要な役割を担っている(→こちらも参照ください)。セロトニンが不足すると、うつ病になる。まるちょうにとっては「いかにセロトニンを生み出し維持するか」が死活問題となってくる。毎日朝晩やっているヨーガは、セロトニンを手軽に生み出すツールだと考えている。停滞している体が動きだすきっかけになるというか。あと、週に2、3回スポーツジムに通っているが、そこではウォーキングをメインに体を動かしている。これら運動に関するまるちょうの哲学について、次回のBlogで詳しく書いてみようと思います。

さて最後に、まるちょう独自の脳内物質論を書いてみたい。以下は全く科学的な根拠はなく、自分の感覚を直観的に分析したものです。「放談」という感じで読んでいただければ幸いです(笑)。

まず、男女の快感曲線について。男性は射精した後、快感自体は急速に消退し、クリアな覚醒状態へと移るように思うんだけど、どうよ? だから男性の場合は、セックスによりセロトニンが出てるんじゃないかと。こう思うのは俺だけか? セックスの後は妙に頭が冴えて、いろんなアイデアや想念が浮かんでくるんだけど。それに対して女性は快感の消退が緩やかである。ドーパミンやエンドルフィンなど脳内麻薬系がいつまでも「うっとりした感じ」を持続させる。

だからピロー・トークというものは、根本的に話がずれるように思うんだけど。「後戯」というのものを考えた場合、やはり男性が女性の快感曲線に合わせるのが、いわゆる「愛情がある」ということになるのだろう。いわゆる「色男」というのは、こうした気遣いをさりげなくできる人なんだろうな。まるちょうはその点、未熟者です(汗)。

ところで、セックスに対してオナニーはドーパミンとノルアドレナリンの単なる枯渇で終わるような気がする。セロトニンは分泌されない。だから、射精した後は「虚無」が残るのみ。無意識の領域に「エネルギーを無為に消費した」という罪悪感が刻まれる。セックスはある意味「創造」だけど、オナニーは「消費」に過ぎない。

その他、まるちょうが感じるものとして、入浴や歯磨きはセロトニンを出すように思う。排便もそう。1992年からの8年間の一番うつが悪いとき。うつのサイクルに入ってから、トンネルを抜けたことを表すサインが「風呂に入れる」ことだった。風呂に入れると、とりあえず一段落。そして排便もそう。排便ができると、トンネルの出口が見えてきた印だった。

以上のように、まるちょうは経験的に「あ、今セロトニン出てるな!」という感覚がある。逆に言うと「覚醒の状態」についての自省を、常に要求されるわけ。ノルアドレナリンの分泌が多くなり、セロトニンのコントロールを逸脱すると「躁状態」となる。これをいかに封じるかが、双極2型の治療のメイン・テーマなのです。今回この雑誌の記事で、神経伝達物質に関してざっくりと理解し直すことができた。お蝶夫人♪、ありがとね。長くなりましたので、いったんここでアップします。