プラス思考って何?



「村上さんのQ&A」のコーナー! 今回も「そうだ、村上さんに聞いてみよう」から、質疑応答を抜粋して考察してみる。

<質問>21歳女子大生です。私は現在就職活動中です。就職活動中に人事の方たちがいつもおっしゃることは「プラス思考の人が欲しい」ということです。??? プラス思考ってなんなんでしょう。前向きってことでしょうか。私自身はマイナス思考の権化みたいな人間ですが、でも前向きなところももっています。社会人になったらいつも前向き、明るい人間でないといけないようです。でも、両面もっているからこそ、人の痛みもわかったりできるのではないでしょうか。会社に属するということは、このような疑問をもたなくなるということかもしれません。怖いことです。


<村上さんの回答>簡単に「プラス思考」っていいますけど、考えてみればむずかしいことですよね。僕自身は他人と争ったりするのが苦手で、そういう局面になると「いいや、べつに」という感じですっと降りてしまうことが多いです。でも、自分自身が相手になると、けっこうしつこく頑張るところがあります。だから誰だって、ある部分ではプラス思考だし、ある部分ではマイナス(というか「引き気味」)思考なんですよね。頭の中が全てプラスという人がいたら、その人はおそらく精神異常者です。自分のペースをつかんで、捨てるべきところは捨てて、無理をせずに生きていく・・というのが人生の達人です。なかなかそううまくはいかんですが。

<まるちょうの考察>まるちょうの思うに、社会人たる者、プラス思考でなくてどうする。いやしくも仕事をして何かを成し遂げようとするなら、プラス思考は不可欠である。ただそれだけでは、社会人としては凡庸なんだと思う。どこかにマイナス思考を差し挟む余裕というか、隙間がないと、つまらない社会人になってしまうだろう。マイナス思考を極めて格好よく差し挟む社会人を、ひとり知っています→「島耕作」その人。村上さん的に言うと「引き気味」な部分を上手に持っているというか。

ただ現実問題として、島耕作タイプが出世するかと言えば、それはまるきり反対だろう。「プラス思考の権化」たる社会人の方が、出世はしやすいと思う。猪突猛進タイプ、つまりタイプAね。当たり前のことだ。タイプA,B,Cについてはこちらを参照のこと。AはAggressiveの頭文字、CはCancerの頭文字と言われている。島耕作はタイプBか。でも、トップに立つ人はAよりもBの方が好ましいと思う。タイプBとは、プラス思考の中に巧みにマイナス思考を組み込んだスタイルだろうと思う。こうした人は、基本前向きでありながら、節目節目に立ち止まって自分を振り返ることができる。引くべき時に引ける人の方が、企業のトップとして適任だと言える。

でも基本、企業に入れば、タイプAの巣窟である。特に新入社員はそうかもしれない。質問者の不安はその辺だろう。タイプAの渦に巻き込まれて、自分を見失うのではないか?という恐怖。まるちょうはよく理解できる。この女性は、要するに「幸せになりたい」のである。企業とは、必ずしも社員の「幸せ」を保証する場所ではない。だからその辺は自助努力。村上さんの言う通り「捨てるべきところは捨てて、無理せず生きる」・・これに限る。どこを捨てるべきかは、20代で暗中模索しなければならない。道は険しいけど、そうしてアイデンティティは確立されるのだ。

それはそうと、まるちょうは典型的なタイプCです。42歳の現在まで、よく癌にならずに生きて来れたなぁ。神様に感謝。医療系には、タイプCの人材が適していると思うんだけど、どうよ? でも現実には、タイプCの人材は医療の現場で燃え尽きて倒れて行く。医師もそうだけど、この傾向は看護師に顕著ではないかな? 自己犠牲は、結局すり減って行くだけ。タイプCという性格傾向も、アイデンティティを形成する過程で、修正されなければ生き残れないだろう。行き過ぎたマイナス思考は、体に毒なのだ。結局、AもCも、いずれBに近づくように生きるのが、賢いということか。村上さんの言う通り「なかなかそううまくはいかん」ですけどね(笑)。

以上、村上さんのQ&Aのコーナーでした。