パニック障害に関する記事

今回は、新聞の囲み記事を題材に書いてみる。読売新聞の「読者と記者の日曜便」から。3/154/19の記事を読んで、とても感動したので。ふたつの記事に共通するのは「パニック障害」という精神疾患。パニック障害は、発作的に激しい不安に襲われ動悸や呼吸困難などを引き起こす疾患で、100人に3人程度が生涯にかかるとも言われる。背景に強いストレスがあることが多く、一度発作を起こすと同じ状況に対して極めて強い恐怖心が生じて、それを避けるようになる。その結果、生活の行動範囲が極端に制限されることがある。ここでは4/19の記事に絞って感想など記す。


大阪に住む陽子さん(59)(仮名)が、昨年7月に一人で熊本に墓参りに行った時のこと。不安で、乗車券確認の時に女性乗務員に自分の病名を告げ、「時々見にきて下さいませんか」とお願いした。すると、その乗務員は、陽子さんがトイレの間も心配して席で待っていたし、博多駅に着く際に手紙を差し出した。その内容は・・

お客様へ ご乗車ありがとうございました。これから先の列車でのご旅行も不安があるかと思いますが、大丈夫です。お客様に何かございましたら、すぐに乗務員がお守りいたしますので、安心して目的地までご乗車くださいませ。次回のご乗車までに私も勉強して、もっと十分にサポートできるように頑張ります。

陽子さんは、読み進むうち涙が止まらなくなった。

うれしくて、なんだか自分に自信がわいてきて。乗務員さんら多くの人のおかげで、ゆったりとありのままの私で過ごせるようになりました。

読売新聞の記者が、この優しい女性乗務員を捜し出した。曰く

戸惑いましたが、今どんな状態でおられるのか、どうしたら道中の不安を和らげられるかと色々考えた末に、ふと手紙を、と思って・・ 実は出過ぎたことをしたんじゃないかと気になっていました。だから、あの手紙をずっと持っていて下さっていたなんで、すごく嬉しいです。これからも列車に乗り続けたいですね。

まるちょうは、この女性乗務員の「おせっかい」がとても好きです。おそらくルーチンワークからは、相当に外れたことかもしれない。頭の堅い人にとっては、あるいは「出過ぎたこと」に映るかもしれないが、現にこうして人助けができているのだ。本当のプロって、必要な時は「枠からはみ出る」勇気を常に持っていなければならない。そうした意味で、この女性乗務員は優秀だと思う。

パニック障害の患者さんを「引きこもり」と混同してはいけない。むしろ「外の世界に出たい、いろんな人と繋がりたい」という欲求は、普通の人よりも強い事が多いのではないか。本人さんの「現実と理想のギャップに対する悔しさ」は、並大抵ではないだろう。「パニック障害」という名の外見では分からない重荷を、社会はもっともっと認知しなければならないと思う。そして、本人さんが「他者には普通に飛び越えられるハードル」を、必死に乗り越えようとする時、この記事のように周囲の人間が温かく援助したいものだ。記者が書いているように「困った人がいたら、即行動」という精神は、本当に常日頃から心がけたい事だ。私なんか「即行動」というのが苦手なタイプなので、もっともっと勉強しなければならないと思う。お蝶夫人♪なんかは、その辺は優秀である。見習いたいものです。以上、二人のパニック障害の患者さんの奮闘に感動したので、取り上げました。