村上春樹エルサレム賞受賞スピーチ(1)

2月の村上春樹のエルサレム賞受賞式でのスピーチについて、語ってみたい。まるちょうは村上さんの熱烈なファンであり、この話題になったスピーチのことが、すごく気になっていた。でも、体調不良などあり、しっかりと関わる体制が取れなかった。現在はもう大分ましなので、少し頑張ってこの「味わい深い受賞スピーチ」を元に、二回に分けてBlogで語ってみたい。


まずはスピーチの原文日本語全訳を参照ください。まるちょうがこれを読んでまず感じたのは「村上さんの内なる闘い」です。08年暮れから09年初めにかけての、イスラエルによる「ガザ侵攻」があり、多くのパレスチナ人の命が失われた。その中には非武装の市民、つまり子供やお年寄りも、かなり含まれていたようだ。アラブの人々はこの戦いを「ガザの虐殺」と呼んでいるそうだ。実際の戦場は、それほど凄惨なものだったのだろう。

そうした中、イスラエルに赴き、のうのうと受賞していいのか。もちろん、パレスチナ支援団体からの「受賞を辞退して下さい」という動きもあったようだし、まるちょうは「村上さん、どうするのかな?」と心配していた。そしてニュースで受賞したことを知り、「そりゃ、当然の権利だもんな。でも、受賞後の批判も厳しいだろうな・・」などと勝手に思っていた。その後、このスピーチの評判を各所のBlogで目にするにつけ、「さすがは村上さん!サムライだ!」と改めてリスペクトすることとなった。

実際、受賞を辞退しても、何らかの「後味の悪さ」は確実に残る。せっかくの文学的な光栄が、政治的な側面により引きずりおろされるみたいな。結局、村上さんの取った勇気ある行動が、ベストチョイスである。このスピーチは、とても重層的で多面的な構成だけど、その一面を取ると、明らかにイスラエルの「虐殺」への批判は含まれている。それを当地へ乗り込んで、ペレス大統領の目の前でやっちゃうんだから、ほんま尊敬に価する。聴衆がスタンディング・オベーションの中、大統領だけはしばらく席を立たなかったという。まさに、サムライ。還暦にして、この実直さと勇気はどうだ。ほんま、憧れです。

次回は実際のスピーチ内容について、自分なりに書いてみたいと思います。