『ムカつく』子どもの本当の心理/富田富士也

「『ムカつく』子どもの本当の心理」(富田富士也著)を読んだ。副題は「今、父親として知っておきたいこと」とある。市立図書館別館が自宅から徒歩一分の所にできて、便利になった。そんな中、お蝶夫人♪がこの本を見つけてきて「これは是非お父さんに読んで欲しい」と薦めてきた本。

現在ダイゴは13歳で思春期まっただ中。まるちょう的には、それなりに話せる父親であるつもりだけど、その気持ちにあぐらをかいてはいけない。一番苦労している母親の薦めなのだから、神妙に読ませていただくことにした。


作者富田さんの簡単な紹介を。現在52歳。いろんな肩書きをお持ちで、著書も多数。しかし根っこは「教育相談ボランティア」である。不登校や引きこもり、問題行動を繰り返す青少年とその親とで、数知れぬほどのカウンセリングを重ねて、ここまでやってこられた。作中の一節に、富田さん自身の簡単な生い立ちが記してあるのだが、これがすごい紆余曲折で、本当に「たたき上げ」の人なんだなと感じる。情熱と経験と強い信念でやってこられたんだと思う。だからこそ、現場での生の声をたくさん知っておられるわけだ。

内容に関して。思春期の子に関して、六つのアプローチ・・学校、友人、異性、家庭、生活、将来・・で、その接し方を考察している。まず、子どもの生の声を掲げて、それについて富田さんが、カウンセラーとしての見地から意見や感想を述べる形式。いろんな重要なことが記されているけど、一番印象に残った言葉を挙げるとすると・・「せめぎ合って、折り合って、お互いさま」という言葉だろうね。これぞ、人間関係を育むツボである。これを思春期に丹念にやってきたかどうかで、その子の将来的なコミュニケーション能力が決まってくる。これって、親としては骨が折れるし、できれば避けて通りたい。でも結局ここで手を抜くと、子どもが成人したときに、痛いしっぺ返しが待っているわけだ。

例えば、テレビのチャンネル争いひとつにしても、まず家族で「俺はこの番組が見たい」「私はこれが見たい」とせめぎ合う→家族内で話し合って折り合う→相互に思いを寄せ合い、お互いの立場を認め合う。こうしたことの細かい積み重ねで、子どもの人間関係を築くスキルが変わってくる。暴君でなく奴隷でもない、曖昧さに耐えうる力の育成が大事だということ。まるちょうも、大いに共感する。私自身も「せめぎ合い→話し合い」というプロセスを、あまり経験せずに大人になった部分があるので、成人してからが大変だった。だから「反抗期」というのは、自立するためには、ちゃんとあるべきなのだ。反抗期なしで過ぎてしまった人は、後で大変だということです。

富田さん自身が、父親との確執をずっと持っておられて、かなり辛い親子関係だったようだ。「自分のような辛い経験をする子どもが、一人でも減るように」という気持ちが、根底にあると思われる。

「子どもの言葉や言い回しに、すぐ反応したりとらわれないで、

その背後にある抑えている感情、気持ちを分かろうと努力すること」

「子どもの言葉にとても腹が立ったときこそ、受け流して聞くこと。

どうしても何かを伝えたいと思うなら、枕詞をつけて言う」
思春期の子供を持つ父親として、まるちょうも心がけたいと思った一節です。思春期の子供を持つすべてのお父さんに、この本をお薦めする次第です。