見えないこども

このCDを聴いて。今回のCDは「見えないこども」(保多由子作)。実は、保多さんには、2002年の冬に東京にてお逢いしたことがある。その前日のコンサートで素敵な声を聴いたばかりだったので、かなり緊張していたのだが、とても気さくな方でこちらがびっくりした。そして、偉い人なのに距離をあけずに、こんな私に接していただけたことが、とても嬉しかった。CDのプロフィールに載っていない保多さんの経歴を考えると、すごく強い人なんだろうと想像する。しかしその一方で、可憐で自由。そういった矛盾した性質をひっそり心の内に包み込んだ人なんだと思う。以前にも日記で書いたけど、まるちょうはこういう人になりたいです。ずばり、憧れの人なのだ。

さて「見えないこども」の解説を少し。作曲は今は亡き武満徹。そう、いわゆる「世界のタケミツ」です。作詞は谷川俊太郎をはじめとする八人が担当。武満さん自身も一部担当している。メゾ・ソプラノが保多由子。ギターが鈴木大介。ピアノが寺嶋睦也。2002年のコンサートは、保多さんと寺嶋さんのコラボだった。

このBlogを書くにあたって「見えないこども」を、CDラックから引っ張り出して聴いたんだけど・・ 結論から言おう、胸がいっぱいになったね。この作品のどこに、そんな不思議な力があるんだろう?「善いものは隠されている」そんなフレーズが頭に浮かんだ。

さて、おすすめ五曲を紹介します。

まずは「うたうだけ」。いわゆる「つかみ」としては、絶好の一曲。保多さんの「馬力」が表現されるうただと思う。うちに秘めたパワーを全開にして「かなしいときは、うたうだけ」と言い放つ。とても元気が出るうたです。

次に「小さな空」。子供時代を思い出しながら、郷愁にひたれるうた。小さいとき、そんな気持ちになったこともあったな・・ ふと遠い目になってしまう(笑)。保多さんの声はとても素直で飾り気がなく、優しい気持ちに自然になれる。

次に「見えないこども」。ミステリアスなうた。谷川俊太郎の詩が、どういう解釈をしたらいいのか、未だに解らない。おそらく、ファンタジーの世界なんだろう。理詰めで追求するうたではないんだろうと思う。でも、解らなくても何故か惹きつけられてしまううたです。保多さんの声も、とても謎めいている。

次に「ワルツ」。保多さんは日本語を上手に歌う人だけど、今回CDを聴き直してみて、外国語も素晴らしいと気づいた。すいません。このCDに出会った頃(2001年)は、他の元気の出るうたばかりに目が行ったけど、ドイツ語の本作もよいですね~♪ 五年前の自分の視野の狭さを恥じた。

最後に「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」。これがまるちょうベストです。このうたに、五年前どんなに励まされたか。それこそ、何度も何度も繰り返して聴いたのを思い出す。ひとことで言うと「幸福を運ぶうた」である。軽やかで、ウキウキして、力強く、潔い。保多さんのうたもいいし、鈴木さんのギターも素晴らしい。本当にありがとう、保多さん。遅まきながら、お礼申し上げます。m(_ _)m

思い入れが強かったので、ちょっぴり長くなりました。こんなに感情移入できるCDなんて、なかなかないです。そういう存在があること自体、すごく幸せな事なんだろうね。第二作が近日発売とか。今から待ち遠しいです♪