Unplugged

このCDを聴いて。今回は「Unplugged」(Eric Clapton作)について語ります。思い入れが強いので、ちょっぴり長いですm(_ _)m。これ確か、研修医時代に出会ったんだよね。ズタズタの日々に出会った一枚。CDショップの入り口にあるモニターに、このCDのプロモーション・ビデオが流れていて、「Tears In Heaven」を弾き語っているClaptonが、やけに格好良かったのを覚えている。あの時代、お金はあるけど使う暇がなかった。だから、このCDを衝動買いするのは、ある意味必然だったような気がする。

Claptonは、言うまでもなく「ギターの神様」。しかしまるちょうは、元来そんなに好きなわけではなかった。そんな中、このアルバムは全編アコースティック・ギターで、アコースティックならではの繊細さが、私を打ちのめしたわけ。そうしてよく聴き込むうちに、この人の魂のこもったボーカルにも、心を奪われるようになった。真摯に生きていないと、こうしたギターもボーカルも生まれてはこないと思う。まるちょう的には、特に自分の弱さをじっと見据える姿がイメージできる。じっくり見据えた上で、前に進んでいこう、みたいな。まぁ、そのためには、確かな強さも必要なんだけどね。

四曲ピックアップする。まず「Layla」。エレキ版のとは、ひと味もふた味も違う。ひとことで言うと「ソフィスティケートされた」感じ。角が取れて、とても玄妙な味が出ている。エレキ版みたいな絶叫はないもんね。過去の痛みや苦しみも、時間が経つと次第にベールに包まれていくのと同じだ。

次に「Tears In Heaven」。Claptonって、各々の歌にちゃんと自分の体験が刻み込まれているから、聴く人の心を揺さぶるのだろうと思う。これもそう。自分の愛息(しかし愛人との間の)が、事故で急死した後に作られた曲。一説によると、Claptonは当然の如くふさぎ込んで、息子に何もしてやれなかった自分を責めた。うつのような状態にもなったんだろう。しかし、そんな中から見事に昇華してこの曲を作ったのだ。「深い悔恨はある。しかし、前を向いて強く生きていかなくては・・天国の息子のためにも」という内容。優しい曲調だけど、込められた魂はとても力強い。

次に「Lonely Stranger」。これ、俺そのものやん!Claptonが自分のことを歌ったのだとしたら(ちうか、多分そうなんだけど)、なんか嬉しいぞ!

‘Cause I’m a lonely stranger here,

Well beyond my day.

And I don’t know what’s goin’ on,

So I’ll be on my way.・・

俺って、いつもこうなんだよね。周りで何が進行しているのか分かっていない孤独な異邦人。「まぁ、いいや」ってな感じで、一人歩いていく。要するに、組織では生きていけない人ですね。研修医の時これを聴いて「あぁ、同じような人がいるんだなぁ」と感慨深かった記憶がある。

最後に「Old Love」。これが、本アルバムのまるちょうベストです。

I can feel your body

When I’m lying in bed

There’s too much confusion

Going around through my head And it makes me so angry

To know that the flame still burns

Why can’t I get over?

When will I ever learn?

Old love, leave me alone

Old love, go on home

文字通り、まだ炎のくすぶっている古い愛に、苛まれている自分を歌った作品。別れなければならなかった理屈と、しかしまだ繋がっている肉体との板挟みである。これも、そういった現実の状況を真正面から受け止めないと、こんな美しくてセクシーな曲はできない。ギターソロがまた絶品である。Chuck Leavellのピアノソロもよいね~♪ しかし、この曲の主役(ちうか、どの曲もか)は、紛れもなくClaptonの声である。さびの部分の「古い愛よ、俺をそっとひとりにさせてくれ 古い愛よ、たのむから帰ってくれ」・・マジしびれます。俺が女だったら、あんたに抱いて欲しいよ!(爆)←懐かしいフレーズ(笑)

Claptonという人は、いろんな言われ方をするけど、強くて自由な人なんだろう。そして、何より勇気がある。評論家にどう言われようが、我が道を突き進んで欲しいと思う。ちうか、本人さんは端からそのつもりなんだろうけどね(笑)。