バックパック

39eb00e3.jpg一枚の写真から話を膨らますコーナー!今回の写真は「バックパック」。この古びた旅行かばんは、21歳の時に買った物だ。思えばこのかばんで、いろんな所へ一人旅に出た。21歳の夏に北海道へ行ったのを皮切りに、24歳の冬に中国、25歳の夏にインド、ネパール、25歳の冬にネパール遭難、26歳の春にキリマンジャロ、34歳の春にソウル、35歳の春にLA、35歳の冬にNY&ナイアガラ。もちろん思い出はいっぱい詰まっていたのだが、古びたカバンを残しておく理由はない。今回の引っ越しの際に、処分してしまった。


さて、村上春樹の作品を読んでいると「青春の終わり」というモチーフによく出会う。ある意味で、このバックパックって、私の青春を象徴するものだったかもしれない。20代のあの頃ほど、自分の可能性を無限に感じられた時はなかっただろう。もちろん心の中は、失恋や様々の挫折で、ずたずただったんだけど。でも、自分を限定せずに生きていけるという「何か」を、無意識のうちに感じていたと思う。そういった「何か」が、自分の中で退縮し消失するのが「青春の終わり」だと思うのです。

いつまでも青春の尻尾を追うのは、愚かだと思う。「あの頃は自由だったな」とか、感傷に耽るのは、大人として恥ずかしいと思う。大人としてやるべき事は、目の前に山積している。だから、青春に踏ん切りをつけるということは、必要なことなのです。このかばんの処分は、そのような通過儀礼だったのかもしれない。

不確定の時代から、ある意味で限定された時代へ。終焉があるからこそ、新たな出発がある。これからも、いろんな意味の旅は続けたいと思います(^^)。