俺はルーチンを愛する人間である。例えば、土曜日は外来を終えて、必ずCoCo壱でチキンカツほうれん草の３辛を食べる。円町界隈にもっとおいしいカレー屋さんがあるのは知っているが、特に行きたいとも思わない。「足るを知る」という美徳である。
昨年12月下旬に「マツコの知らない世界」という番組で、チョコレートケーキが紹介されていた。俺は単なるいち庶民なので、ひとつ1000円もするショートケーキがあるという事実にぶっ飛んでしまった。俺はいつも、妻と息子から馬鹿にされている。ルーチンにしがみつくオッサンという「無様」を嗤うのだ。この番組をみているうちに、俺の中にひとつの企みが閃いた。「こいつらを見返してやる」
例えば、京都でちょっといいケーキを売っている店があるとする。自分なりにリサーチして、行列に並ぶなら並んで、美味しいやつをゲットする。そうして家族にサプライズを届けるのだ。マツコを観ながら「我ながらイケてる作戦」とニンマリしていた。コロナ禍ではあるが、年末年始のやや長い休暇もあり、一度は京都市内に出かけたいと思っていた。
番組が終わって、自室でさっそくリサーチ。さすがに1000円のショートケーキって、そうそうないな。そんな中、だいたい600円程度でショートケーキを売っている「パティスリーS」を見つけた。食べログをみると、わりと好感触。立地も四条烏丸下がるくらいにあって、便利。Xデーは12月29日（火）と決めた。その日は、OPENの確認はしたはずだった・・
29日、朝から京都イオンのコメダでBlogを書いていた。俺は喫茶店で文章を書くのが好きだ。10時になると、イオン内で三件のタスクをこなした。ちょっとしたタスクだ。その後、地下鉄に乗って烏丸御池へ。その時点で「根本的な間違い」には気付いていなかった。コインロッカーに荷物をいれて、手ぶらで街にでる。目指すは「パティスリーS」。
地上にでて、iPhoneでマップを見る。マップって、それほど使ったことないので、戸惑う。あれこれして、ようやく「パティスリーS」の位置が出てきた。
心折れそうになるも、そこは持ち前の粘り腰。御池に姉妹店の「パティスリーSサロン」があったはずだ。その時は、心の中でゴーサインが出ており、歯止めがかからなかった。iPhone片手に、烏丸御池下がるあたりを、ぐるぐる回る。そう、文字通りぐるぐるまわっていた。彷徨い歩きながら、汗はかくし、腹は減るし、のどは渇くし。とうとう「サロン」を見つけた！と思ったら「本日閉店」であった。
待て待て待て。缶コーヒーを飲んで、一息つく。とりあえず、メシだ。昼飯を食わないと。そこから
また歩く歩く。心が弱くなっていて、店に入れない。脱水と低血糖で頭が朦朧としてくる。気がついたら、四条通まで降りてきていた。「あ、そうや。こういう時は行き慣れた吉牛でいっか」 吉牛で牛丼大盛りと卵。これで決まり。かー、うまい。サイコー！ 元気が出た俺は、パティスリーSをチェックしておくことに。行ってみると、こちらもお休みだった。がっくしorz
家に帰って、このエピソードを披露すると、散々に嗤われた。行動プランに無理がありすぎるなど。まあ、確かにそれは認める。くそぅ～orz
しかし、今回の年末年始休暇は長かったのだ。1月3日に再度アタックすることとなり、今回はOPENをしかとチェックの上、パティスリーSに訪れた。ケーキをよっつとショコラテリーヌのSをゲット。これは隠密ミッションだったので、ようやくサプライズが実現したのであった。嫁と息子にちょっとドヤ顔できました。俺もたまにはやるやろ？みたいな。ショコラテリーヌ、うまかったなー(遠い目) 長くなりましたが、年末年始のちょっとした「脱線」を語ってみました。
