精神分析入門(1)/フロイト

「精神分析入門」(フロイト著)を読んだ。はっきり覚えてないけど、読み始めたのはおそらく昨年の春頃。まるまる一年かけて読了したわけだ。途中、体調不良とかいろいろあったけど、なんとか読了できてよかった。苦労しただけの収穫はありました。これからの人生の中で、おそらく相当に役に立つと思う。心理学の面白さを教えてくれた本。

そもそも、なんでこの本を読むつもりになったか。筒井康隆の「七瀬三部作」で出てくる心理学用語(自我、超自我、リビドー、エディプスコンプレックスなど)の意味が、もうひとつ判然とせず、歯がゆい思いをしたから。心理学を避けて人生を渡れないという直観が、自分のどこかにあった。どうせ勉強するなら本格的に、というわけで「精神分析入門」を読むことにしたわけ。しかしそれにしても道のりは長かった。

便宜的に、次のように分けて語ってみる。

#1 自分の夢分析

#2 リビドーにおける善悪

#3 心的人格の分解

#4 その他興味深いこと



今回は#1の「自分の夢分析」ということで、まるちょうが実際にみた夢を自己分析してみたい。

ーーー場所は病院だろうか。外来の診察室かあるいは検査の部屋か? とにかく白衣とベッドの印象が残っている。私は研修医でおどおどしながら指導医が現れるのを待っている。いつの間にか、私は心臓カテーテルの部屋にいて、患者さんの動脈穿刺した後の圧迫止血をしている。側にいる指導医はなぜか、いつの間にか白衣を着た室伏広治である。ふと緊張を緩めたすきに、穿刺部位から血がほとばしる。室伏指導医は、こめかみに血管を浮かび上がらせて怒鳴る。「もっと!もっと強く圧迫するんだ!」私は青くなりながら、穿刺部位をぎゅっと圧迫する。しかし室伏指導医は声を緩めない。「もっと強く!強く圧迫して!」「はい!」私はもっと力を入れて圧迫するーーーそこで目を覚ました。

この夢の解釈の要点はみっつ。

*1 昼の名残

*2 切羽詰まった尿意

*3 肉体美への憧れ


まず*1から。ちょうどその日は病院の救急番を担当していた。この夢の舞台設定は、明らかに昼の名残を反映している。*2は、血液と尿の転移が生じている。しっかり止血(尿意を我慢)すれば、睡眠の継続が可能になるというわけ。フロイト曰く「夢は眠りの守護者である」と。この場合、はち切れんばかりの膀胱が刺激となって夢が生じているのだけど、それに抗して眠りを継続させようとしている。最後に*3。これが一番大事な要素。なぜ指導医が室伏広治だったのか? しばらく私自身も理解できなかったが、玲瓏なる心で考えた結果、ひとつ明快な解釈を見いだした。自分ではそれほど強く意識しているわけではないけど、潜在思想として「肉体美への憧憬」があるらしいのだ。毎日ストイックにヨーガや筋トレを継続したり、ジム通いできるのは、まるちょうの精神の根底に、そういう要素があるからに違いない。確かに、自分の体にたくましい筋肉が付くのは嬉しいと思うし。自分の精神の内奥を覗いたようで、心の中で「ガッテン台」を何度も叩いた(笑)。

このように、精神分析の知識がある程度あれば、簡単な夢の分析はできる。次回は「リビドーにおける善悪」というテーマで語ってみたいと思います。