突然ですが、上の画像をみて、どう思われますか? 10月上旬に、JRの中吊り広告で何度も目にしていた。広告って、とりあえず「可愛い女の子の顔」を載っけておけば、どうしたってちょっと見てしまう。これはたぶん、男女問わずでしょう。そして困ったことに、この広告には「伝えたい内容」が明示されていない。思わず「ん?」となるわけです。左下に検索窓があって、なにか文字らしきものがあるのだが、いかんせん近視の私には見えない。このポスター広告って、どうしても目立つので、その気がなくてもちょいちょい見てしまう。最初は、女性誌とかファッション関連の広告かな?と思っていた。それにしても情報少なすぎるやろ。うーん、もどかしい・・ そうして、いつの間にかこの不思議な広告に「巻き込まれて」いく。
意味ありげな点線の円・・というか、白いブロックがリング状につながっているというか。なぜか、ひとつのブロックだけが赤い。そしてよく見ると、各ブロックの中心に黒い線が入っている。はて?これは何を表しているんだろう? ふと、線路じゃないかって思ったのね。だって、JRだし。これだけ「余裕こいた広告」っていうのも珍しい。こんなまるで「謎かけ」みたいなのって、結局自社広告しかできないんじゃないの? ☞ つまりJRの広告ということね。このリング状の「記号」は、もしかして大阪環状線のことを表してるんじゃないか?
左下の検索窓の言葉を、降車時にチェックする。「マイフェバ」とあった。なんじゃ、そら。通勤途中なので、メモすることもできない。いったん記憶の圏外へ飛んでいく。その日の仕事は忙しく、夕食後寝て、深夜起きるパターン。自室で独りゴソゴソしていたら、ふと「あの中吊り広告」のことが頭に浮かんだ。その時間帯って、たいてい軽躁状態なので、気になり始めるとブレーキが効かなくなる。Web検索じゃ~ヽ(゚∀゚)ノ ワー 例えば「JR 中吊り広告 女性」とか「JR 中吊り広告 環状線」「JR 中吊り広告 女の子」とか。でも全然ヒットしない。あー、あのキーワードさえあれば・・ヾ(。>д<)シ ちょっと錯乱状態になりかけたその刹那、例の「マイフェバ」というキーワードが天の啓示として記憶に蘇る。深夜に、鉱脈を掘り当てたかのようなオッサンの歓喜が静かに湧き上がる。そうして中吊り広告の奥に隠れていた「巧みに演出された企図」「洗練された頭脳の連携」などを発見したわけです。参考までに、このポスター広告のフルバージョンを載っけておきます。どれも目を引くできばえです。
「マイフェバ」の詳細は ☞ こちら
上記サイトに、すべてが載っています。興味ある人は、ご覧ください。素晴らしくセンスのよいWebデザインだと思うし、企画自体がすごい発想だと思う。要するに大阪環状線をもっと盛り上げていこうということね。ターゲットはもちろん若い女性層。起用されているのは、モデルの中条あやみさん。イギリス人のハーフだそうだ。彼女の可愛さは、この際おいといてやね・・ こうした企画を立ち上げて膨らませて、実現していくというパワーですよ。環状線って、正直おっさん臭い、生活臭のただよう、実にリアルな路線じゃないですか。それをある意味「若い女性でも楽しめるよ!」とイタズラっぽく提示するわけです。これって、すごい頭脳だと思うんですけど。
「幻想」と言ってしまえば、それまで。でも大阪のJRの象徴的な路線に、付加価値をつけていこうという試みなわけですよ。生活のための路線としてだけでなく、文化の発信地、交流の場としての環状線。こういう提案なんですね。これ、誰が仕掛け人なんだろう?と、深夜に調べ上げました。「JR西日本コミュニケーションズ」の子会社「広告会社Jコミ」という組織のようです。「社長ごあいさつ」というページに、企業の理念について、以下のように記載がありました。
氾濫する情報チャンネルの中で、駅・電車の「RAILWAY MEDIA NETWORK」は「気づかせ」のトップランナーです。毎日どこかの駅・電車の中で、何か新しい「気づき」が生まれています。情報チャンネルが増えるほど、私たちのメディアはチカラを発揮するのです。私たちの最大の強みはここにあります。Jコミは、「気づき」とWEBやマスメディアを「連結」した独創的なトータルプランを制作し、末長く心に残る「感動コミュニケーション」を追い続けます。
文系の優秀な頭脳が、ここに結集しているんだろうなぁ。Webだけ見ても、具体的な顔は見えてこないけど、いろんな分野のいろんな才能が協力して、今回の「洗練された試み」を生み出している。深夜に独りで「スゲーなー」とつぶやいていました。いっぱい食わされたおっさんとして、素直にそう思いました。広告って、面白いですね(笑)。