モラルの低下について

「村上さんのQ&A」のコーナー! 今回も「そうだ、村上さんに聞いてみよう」から、質疑応答を抜粋して考察してみる。

<質問>「モラルの低下」について、質問します。例えば、駅でゴミを捨てる人が増えたとか、周りを見渡しても「モラルの低下」を実感するときが多いです。これは日本だけでなく、全世界的な傾向のように思われます。近代資本主義の行き着く精神の荒廃なのか? 村上さんはどのように思われますか?(35歳 日本語教師 乙女座O型)


<村上さんの回答>モラルというのは時代によって上がったり下がったりするものではないというのが、僕の基本的(そしてかなり確固とした)考え方です。それはただ流動的にかたちを変えているだけです。優れた世代とか、劣った世代とか、そういうものも存在しません。

今より昔の方がモラルが高かったのなら、どうして前の戦争のような愚かな大量殺戮が行われなくてはならなかったのだろうかと、僕はいつも思うのです。あるいはモラルという名の下に行われることは、本当に全て正しいのだろうかと。モラルというのは、考えれば考えるほど難しい問題だと思いませんか? 少なくとも僕にとっては難しいです。

<まるちょうの考察>モラルって村上さんが言うように、難しい。モラルって大人的なイメージがあるけど、それがあまりに極端なると、不自由になっちゃう気がする。かといって、いい大人が「色と欲」のみで振る舞うのもどうかと思うし。結局はバランスだと思うんだけどね。子供はモラルを身につけるべく勉強すべきだし、大人はモラルに縛られてがんじがらめになるべきではない。

質問者の言うことは、ある程度うなずける。現代は、どんどん大人が「子供化」している時代のように思う。さっき出てきた「色と欲」ですね。大人として抑えるべき「色と欲」への願望が、どんどん剥き出しになっている。「近代資本主義の行き着く精神の荒廃」といえば、そうなのかもしれない。

でもまぁ村上さんの言う通り「モラルの低下ではなく、質的変化」なんだろうね。あくまでも直観で、根拠のある話ではないんだけど、まるちょうはなんとなく「人々のモラルの二極化」を感じる。高潔な人と低俗な人に二極分化して、中間が少なくなるパターン。例の「下流社会」で論じられているように。もちろん机上の空論かもしれない。

最後に村上さんの言葉を付して終わる。「誰もごみは捨てないけれど、お上の言うままに『右向け右』でみんなが戦争に行く社会と、その辺にごみを捨てるような不心得なやつは中にいるかもしれないけれど、自由が基本的に尊重されている社会とを比べたら、僕はやはり後者を選びます」まるちょうも同感です。

以上、村上さんのQ&Aのコーナーでした。