Greensleeves三題

興味ある音楽について語るコーナー! みなさんは「Greensleeves」という古い曲をご存じだろうか? たぶん、そのメロディーを耳にしたら「ああ、これか」と膝ポンすることだろう。元はイギリスの民謡で「緑色の袖」のドレスの貴婦人に恋する男性の切ない心を歌ったものです→こちらを参照。

まるちょうの手元に、みっつの全く異なる「Greensleeves」がある。どれも各々の個性を発揮していて、好き。表現の仕方で、これだけの差異が生じるところに、面白さを感じる。以下、順に語ってみたい。


まずは「村治佳織(3:48)」

クラシック・ギターです。彼女の二作目のアルバムに収録された演奏。当時弱冠17歳である。もともと生真面目な雰囲気のある人だけど、この演奏もとても模範的で、あまり「道を外れる」ような冒険は認められない。ただ、斜に構えず真っ正面から取り組んでいるという姿勢は、大いに評価すべきだろう。でも・・もともとこれって不倫のもやもやを歌った曲なのだから、こんなに綺麗にまとめていいの?っていう感想はある。だいたいやね~(竹村健一風に)、17歳のいたいけな少女に、不倫の愛なんて表現できるはずがないねん。一番足りないもの・・ドロドロした憂い。爽やかしすぎ。現在28歳の彼女ならば、もっと違う弾き方をするだろうと推察する。ま、さわやか系のGreensleevesもありかってことで。

次に「John Coltrane(9:59)」

がらりと変わって、もろにジャズです。前者に比べると、とても男性的なGreensleeves。ジャズ独特のimprovisation(即興演奏)が、とても開放的で、言い方を変えると型破りな印象。アフリカをモチーフとしたアルバムに収録されているだけあって、とても大陸的。だから、ある意味さっきの村治さんのとは180度違う演奏である。同じ曲がこれだけ違う印象になるのかと、とても面白く感じる。ただね~、表現の仕方は自由と言っても、Greensleevesをこれだけ長くねちねちと演奏されると、ちょっと食傷気味になるという見方もあるかもしれない。10分弱だもんね。でも、この長さ自体も、Coltraneの表現方法の不可欠な柱だっただろうし、「ねちねち感」も彼独特の美学だろうしね。まぁ「ねちねち」と聞こえるようでは、彼のファンを名乗る資格はないのかもしれない。でも、正直このGreensleevesは重く感じる。

最後に「Jeff Beck(1:50)」

まるちょうの敬愛するロック・ギタリストです。本作はアコースティックだけど。何を隠そう、まるちょうの一番愛するGreensleevesはこれ。学生時代に出逢って、今なお好きです。空虚でいて優しいというか。あえて比較すれば、村治さんより魂に訴える力があり、Coltraneよりもはるかに簡潔。「緑色の袖の女性」への愛が通じない孤独や苦悩を、一番的確に表現していると思う。「That’s all」という彼の言葉が聞こえてきそうだ。彼の非凡さが如実に表れた演奏といえる。学生時代に、どれだけこの演奏に慰められたことか。

最後に・・もっともっとよい演奏はあるのかもしれない。Amazonで検索したら、膨大な数がヒットするしね。まぁ、まるちょう的なチョイスで気ままに評価してみました。あしからず(笑)。