僕の奥さんが直面している「苦難」について書きます(2)

現在、義父を世話するのは、ほぼ彼女ひとりである。彼女には弟さんがいるが、持病もあり、義父の世話をする余裕がほぼない。彼女の「ワンオペ」で、義父の介護はなんとか切り盛りされている。でも、、 義父は言うことを聞いてくれない。たまに暴言を吐く。暴力もちょっとあった。つまり、コンプライアンスが悪い。良かれと思ってやったことも、彼女に感謝の態度は少ない。不平、不満が多い。上記の6月末からの老健入所にしたって、今年の酷暑を考えたら、自宅で独り暮らしは無理なことは明白。そうした娘の思いやりとか、さまざまの苦労に対して「ありがとう」と素直に言えない。でも、困ったときに助けを求めるのは、彼女ばかりなのだ。どこかヤクザな元警官の父に対する彼女の複雑な感情は、ひと言では表現できない。そして、僕もそれを全部は理解できない。

9月20日に義父は自宅生活に戻る。しかし、例えば今年の初め頃に比べたら、脚力も落ち、全体的な体力も落ちている。どうしてもサポートが必要。ADLは歩行器ぐらい(以前はなんとか独歩可能)。買い物とか、家事の支援は必要だろうし、心配の種はいくらでもある。まずはベッドを入れる作業から。布団から立ち上がるのが困難。まず部屋にベッドを入れるために、要らない家具を移動する必要がある。「父の帰還」を控えて、膨大なタスクと、見通しの取れなさ。彼女の頭は混乱し、疲れ果てる。僕がなにか支援できればいいが、僕だって超高齢の両親を抱えている。助けるといっても、所詮、できることは限られる。

義父が自宅生活に戻ったあと、いちばん心配なこと。義父はたくさんの慢性疾患を抱えている。ざっと心不全(PM埋込)、腎不全、ぶどう膜炎、双極性障害、排尿障害、慢性皮膚炎、腰部脊柱管狭窄症など。それぞれの外来に、一人で受診できるのか? ADLはぐっと落ちている。各外来での現状の説明や、主治医からの説明も理解が乏しかったり。結局、彼女の「通訳」としての付き添いが必要なのだ。今年初め頃は、行けるところは自分で行っておられた。上記すべてに付き添いが必要となると、彼女の負担は目もくらむばかりとなる。そうして、感謝はうすい。父の世話に行くたびに、彼女は両こめかみが痛くなる。いつもそう。おそらく顎関節症だと思っているが、如何ともしがたい。頭は拒絶しながらも、やらざるを得ないという葛藤。歯を食いしばらなければ、体が動かない。9月20日から、彼女はそうした地獄の奥へ進んで行くことになる。

こうして彼女に関する文章を書いてきて、ひとつ感じたこと。彼女は9月20日から「地獄の内奥に入っていくのだ」ということ。たぶん、これは明確なことだ。そうして、夫である僕はタフな人間ではない。双極2型障害を抱えているので、普通の50代男性よりも十分な休息が必要である。無理ができない。僕のミッションは、まず仕事をしっかりすることである。そのことは彼女は分かりすぎるくらい分かっている。だから僕には、あえて支援を求めない。カサンドラ症候群という奇妙な「孤立感」の中で、業火の中へ足を踏み入れるという状況。そうだ、これはまさに「業火」なのだ。夫である僕はほとんど何もできないが、9月20日から、そういうフェーズに入ることをしっかり覚悟しようと思う。ポンコツなりに、頑張るしかないと思っている。以上、僕の奥さんの苦難について、文章まとめてみました。