現在公開中の映画「日輪の遺産」(佐々部清監督)を観てきた。体調の問題もあり、一時はDVDで済ませようか、なんて弱気な気持ちになった。それを佐々部監督の応援BBSに書き込んだら、次のような返答をいただいた。
『日輪の遺産』は大きなスクリーンを特に意識して、クローズアップを極力少なくした作品です。大きなスクリーンで観て欲しい作品ではあります。おそらく一ヶ月くらい上映していると思いますから、体調が上向きましたら(無理でなかったら)、劇場でご覧ください。
このお言葉は、やや意外だった。優しいお人柄とは別に、監督として、映画人として「妥協できないこだわり」を文面から感じ取った。このやりとりから、約10日後に劇場へ足を運ぶ。そしてどうだったか。上映中、中盤から涙が止まらず、すごく困った。そして、映画館を出てからの、何とも言えぬ爽快感、興奮、胸の熱さ、みなぎる力。こうした自分では把握できない「感情の複合体」に、酔いしれた。
本作の素晴らしい内容はもちろんだけど、まず劇場で映画を観るという基本的な行為。これを私はずっと忘れていた。記憶をたどると、8年前に結婚してから、劇場に足を運んでないのね。性来の出不精でもって、DVDでずっと済ませていた。今回はまず、この「劇場で映画を観る」という行為の大切さを、痛いほどに教えられた。大きなスクリーンで、音響もいいやつ。そして何と言っても、非日常の時空間である。これ、凄い。佐々部監督にケツを叩かれて、本当に感謝しております。何をするにせよ、面倒くさがっては心から楽しめないし、核心に近づけない。本作の感想Blogを書くにあたり、まずこの「再発見」について記しておきます。
さて、上記の「感情の複合体」を分析したい。なんであんなに心動かされたのか。監督には失礼だけど、最初からワクワクしていたわけではない。「まぁ、とりあえず観てみよう」的な入り方だった。そこから「鷲掴みにされた俺の心(笑)」について、次のふたつの軸で考えてみたい。もちろんネタばれありです。ご注意のほどを。まだ観てない人は、劇場へ急げ!(笑)
#1 教育というものの怖さ
#2 日本人としての矜持
今回はイントロということで、次回から本格的に語ります。雰囲気が少しでも分かるよう、劇場予告編のYouTubeを載っけておきます。