問題を置く

お題を決めて、久しぶりに語ってみたい。今回のお題は「問題を置く」・・面白い新聞記事があったので。私は基本的にあまり新聞を読まない。ネットニュースをざっと見る程度。しかし医療関係は自分の専門分野なので、お蝶夫人♪に関連記事を切り抜いてもらい、それにはしっかり目を通している。そしてたまに医療とは直接関係ないけど、彼女の判断で興味深い記事が混じる。今回のネタとなる記事は、そんな中のひとつ。9/12の読売新聞「今日のノート」という囲み記事をもとにいろいろ語ってみる。


何か困難な問題が生じた時、いったんそこから距離を置いてみることはないだろうか。それだけにとらわれるとかえって何もできないから、少し遠ざかって考える。現実から逃げるのではなく、冷静に受け入れる。そんな行為を名古屋少年鑑別所の藤原美智子専門官が「問題を置いておく力」と名付け、測定した結果を日本犯罪心理学会で紹介した。

なんでも、犯罪を起こした少年たちは「何事も早く、答えを明確にしなければ気が済まない」という性質があったようだ。そして問題に直面したときに「自分の感情に押しつぶされそうになる」「自分自身をひどく非難する」などの激しい心理的な反動が出てくる。その結果「自分はダメな人間だ」という自己評価の低さにつながり、マイナス思考の悪循環に陥る。そうして、問題行動に手を染めていく。非行少年の全てがそうでないとしても、そうした思考パターンが原因となる少年犯罪は多いはずだ。

藤原専門官いわく「ある時、ああそうだったんだと、ぱあーっと解けていく時ってあるでしょう。そういう、解決までの”あたため期間”の重要性を考えてみたかった」と。まるちょうは、藤原専門官の仰る感覚はよく理解できる。すぐに「白か黒か」と急ぐよりは「とりあえずグレーで様子みよう」という姿勢が、特に現代には必要な姿勢ではないのか。毎日めまぐるしく変わるニュースの数々。マスメディアは、最先端のニュースをまさに「白か黒か」という姿勢でさばいていく。要するに「これはグレーです」という姿勢では、商品価値が下がるのだ。ステレオタイプな現代人は白黒はっきりした記事を喜ぶから。しかし、そこには上記のような「あたため期間」なるものは、全く存在していない。ある意味恐ろしい。

新聞記事はこう締めくくっている。

早く、正しく、と急かされる現代。しかし、問題を自分の近くに置いたまま、少し別なことをし、心が熟すのを待ってみてはどうか。焦らず、逃げずに問題を置いておくことで救われる時が、きっと来るはずだ。

世の中、もっと曖昧でいいと思う。あるいは鈍感でよいと思う。問題を横にとりあえず置いといて、解決の糸口が現れるのを待つ。でも、現代って、ひたすらその逆を走っているよね。例えば医療や教育現場における「クレーマー」が増加する背景として、上記のような現代の流れがあるのではないか。もっとスローに生きたい。まるちょうの切なる願いです。